抄録
本研究は,日本の一般市民 (3,102名) を対象に死生観を調査し,日本人の死生観の多次元構造の再検証および,性別・年代・宗教による属性差を検討した。その結果,7因子からなる臨老式死生観尺度の多次元構造が支持された。属性差について,効果量の観点から死生観は性差より年代差や交互作用による差が大きいことが示された。なお性差については,「死後の世界観」でのみ女性が男性より高得点で小程度の効果量が示された。また特徴的な交互作用として「寿命観」では50代で女性が男性より高得点で中程度の効果量が示された。宗教による差の検討では,信仰する宗教が特にない群はいずれかの宗教群に比べ,「死からの回避」以外すべての下位因子で有意に低得点であることが示された。「解放としての死」の群間差は特徴的で,キリスト教群が特になし群および仏教群より有意に高得点であり,中程度の効果量を示した。本結果は日本人の死生観に関する大規模基礎データを提供するものであり,今後の医療や福祉,教育現場で活用されることが期待される。