宗教/スピリチュアリティ心理学研究
Online ISSN : 2758-1004
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  • ティク・ナット・ハンの歩みをたどって
    林 凜華, 横洲 有咲, 宮田 裕光
    2026 年4 巻1 号 p. 1-16
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,マインドフルネスに対する社会的認知度が世界規模で高まり,臨床心理学,医療,教育,福祉,ビジネスなど多方面にわたる領域でマインドフルネスが応用されるようになっている。一方で,現在主流のマインドフルネスによるアプローチは,世俗化,個人化,商品化が進み,さまざまな有害事象を生み出す温床ともなっていることが指摘されている。本論文ではまず,心理学に加えて仏教学や社会学なども含む学際的な視点から,マインドフルネスの多面性を分析する。具体的には,マインドフルネスの射程を,手段化されたマインドフルネスから,倫理性や慈悲などをも包摂し,個人の内的変容から社会の外的変容を可能にするマインドフルネスへと拡げていく必要性があることを論じる。そして,マインドフルネスを現代社会に即した形で西洋社会に広め,「行動する仏教 (Engaged Buddhism)」の流れを作ったベトナムの禅僧であるティク・ナット・ハンの基本思想について考察する。慈悲や非暴力に基づくマインドフルネスを普及させたティク・ナット・ハンの視点や,仏典の解釈に再帰することで,マインドフルネスが持つ本来の意義を確認し,これからの時代に資するマインドフルネスの概念的枠組みの拡張や展望について論じる。
  • 性別・年代・宗教差の検討
    藤原 優輝
    2026 年4 巻1 号 p. 17-27
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,日本の一般市民 (3,102名) を対象に死生観を調査し,日本人の死生観の多次元構造の再検証および,性別・年代・宗教による属性差を検討した。その結果,7因子からなる臨老式死生観尺度の多次元構造が支持された。属性差について,効果量の観点から死生観は性差より年代差や交互作用による差が大きいことが示された。なお性差については,「死後の世界観」でのみ女性が男性より高得点で小程度の効果量が示された。また特徴的な交互作用として「寿命観」では50代で女性が男性より高得点で中程度の効果量が示された。宗教による差の検討では,信仰する宗教が特にない群はいずれかの宗教群に比べ,「死からの回避」以外すべての下位因子で有意に低得点であることが示された。「解放としての死」の群間差は特徴的で,キリスト教群が特になし群および仏教群より有意に高得点であり,中程度の効果量を示した。本結果は日本人の死生観に関する大規模基礎データを提供するものであり,今後の医療や福祉,教育現場で活用されることが期待される。
  • ダーク・トライアドと心理的リアクタンスとの関連におけるあまのじゃくの媒介効果
    木川 智美
    2026 年4 巻1 号 p. 28-36
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,実証的な「あまのじゃく」特性の構成概念の把握と,ダーク・トライアドと心理的リアクタンスとの関連における「あまのじゃく」の媒介効果の検討であった。初めに6項目からなる「あまのじゃく」尺度を作成し,その1因子構造が確認された。これらの項目には自己中心性や自己優越感および恩着せがましさに関する内容が含まれた。サイコパシー傾向および自己愛傾向とリアクタンスとの関連において,「あまのじゃく」特性の媒介効果(部分媒介)が確認された。
  • NHKの「日本人の意識」調査に基づく検証
    和田 美憲
    2026 年4 巻1 号 p. 37-48
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,NHKが実施する「日本人の意識」調査の結果を用いて現代日本の宗教行動および信仰が,どのような個人の属性と経済・社会特性によって特徴付けられるのかを実証的に示す。宗教行動に関しては,宗教行動全般だけでなく,現世利益を求める非継続的な宗教行動と自己修養を目的とする継続的な宗教行動の決定要因を導出する。回帰分析の結果,年齢,都市化,教育水準,婚姻状況,雇用状況,労働価値観などが,現代日本の宗教性の決定要因であることが示される。そしてこれらの要因の中から,現世利益的宗教行動と自己修養的宗教行動を決定する要因が大きく違う一方で,信仰と自己修養的宗教行動を決定する要因が,ほぼ一致することがわかった。現代日本の宗教性を教育,労働価値観,そして都市化との関連により特徴付けることが可能となった。
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