日本補綴歯科学会雑誌
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顎堤の前後的傾斜が支台歯の挙動に及ぼす影響
レストシート形態と支台歯連結
水流 和徳西 恭宏木下 智恵濱野 徹川畑 直嗣長岡 英一
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2002 年 46 巻 2 号 p. 165-174

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抄録

目的: 遊離端義歯の支台歯の変位が, 欠損部顎堤形態 (前後的傾斜) からどのような影響を受け, その影響がレストシート形態や支台歯の連結固定によってどのように変化するかを検討する.
方法: 下顎右側第二小臼歯, 第一ならびに第二大臼歯欠損の既製模型を改造し, 下顎右側第一小臼歯を支台歯とする遠心レスト付きエーカースクラスプを有する実験用義歯を作製した. 実験条件として, 3種類の欠損部顎堤形態 (前方傾斜・水平・後方傾斜), 支台歯の連結固定の有無, 3種類のレストシート形態 (前方傾斜・水平・後方傾斜) を設定した.義歯の第一大臼歯相当部に垂直荷重を加えた場合の支台歯の変位を, 三次元下顎運動解析装置 (MKG) により計測した.
結果: 1. 支台歯はどの顎堤形態においても近心方向に変位し, その変位量は顎堤形態の違いにより異なった. 2. どの顎堤形態においても, 前後的に傾斜のあるレストシートでは, 水平レストシートに比べ, 支台歯の近心方向の変位量が大きく, 垂直方向の変位量は小さい傾向を示した. 3. 顎堤形態ならびにレストシート形態にかかわらず, 支台歯を隣在歯と連結すると, 支台歯の変位量は小さくなる傾向を示した.
結論: 顎堤の前後的傾斜が, 支台歯の変位に影響したが, その方向と大きさは, レストシートの前後的傾斜と支台歯の連結固定により変化し, 水平レストシートと支台歯の連結は, 支台歯の変位量を小さくするのに有効と考えられた.

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