日本補綴歯科学会雑誌
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46 巻, 2 号
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  • 松村 英雄
    2002 年46 巻2 号 p. 151-164
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    セラミックス修復における接着の基本操作, 機械的維持のための表面処理, 接着に寄与する化合物, 装着材料の所要性質, セラミックス修復の臨床成績などについて解説した. 焼成陶材の接着においてはフッ化水素酸によるエッチングが有効であり, 表面処理剤としてシランカップリング剤を酸性モノマーで活性化させる材料が開発されたことなどを示した. セラミックス修復の臨床成績に関する報告は装着後の破折防止に留意すべきことなどを示唆している.
  • レストシート形態と支台歯連結
    水流 和徳, 西 恭宏, 木下 智恵, 濱野 徹, 川畑 直嗣, 長岡 英一
    2002 年46 巻2 号 p. 165-174
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 遊離端義歯の支台歯の変位が, 欠損部顎堤形態 (前後的傾斜) からどのような影響を受け, その影響がレストシート形態や支台歯の連結固定によってどのように変化するかを検討する.
    方法: 下顎右側第二小臼歯, 第一ならびに第二大臼歯欠損の既製模型を改造し, 下顎右側第一小臼歯を支台歯とする遠心レスト付きエーカースクラスプを有する実験用義歯を作製した. 実験条件として, 3種類の欠損部顎堤形態 (前方傾斜・水平・後方傾斜), 支台歯の連結固定の有無, 3種類のレストシート形態 (前方傾斜・水平・後方傾斜) を設定した.義歯の第一大臼歯相当部に垂直荷重を加えた場合の支台歯の変位を, 三次元下顎運動解析装置 (MKG) により計測した.
    結果: 1. 支台歯はどの顎堤形態においても近心方向に変位し, その変位量は顎堤形態の違いにより異なった. 2. どの顎堤形態においても, 前後的に傾斜のあるレストシートでは, 水平レストシートに比べ, 支台歯の近心方向の変位量が大きく, 垂直方向の変位量は小さい傾向を示した. 3. 顎堤形態ならびにレストシート形態にかかわらず, 支台歯を隣在歯と連結すると, 支台歯の変位量は小さくなる傾向を示した.
    結論: 顎堤の前後的傾斜が, 支台歯の変位に影響したが, その方向と大きさは, レストシートの前後的傾斜と支台歯の連結固定により変化し, 水平レストシートと支台歯の連結は, 支台歯の変位量を小さくするのに有効と考えられた.
  • 関本 智信, 河野 正司
    2002 年46 巻2 号 p. 175-184
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: ガイドの傾斜角度の変化がガイド歯の歯周組織に及ぼす影響を歯の脈動の様相から評価した.
    方法: 歯の脈動の測定には, 非接触型の微小変位測定装置を使用した. 被験者はブラキシズム癖のない男性とブラキシズム癖のある男性として, 被験歯は上顎犬歯とした. 両被験者において安静時およびクレンチング後の歯の脈動を測定した.また, 被験者固有のガイドに対して10度, 20度急傾斜なガイド装置を就寝前に付与し, 翌朝に歯の脈動を測定した.
    結果: 1. 今回製作した微小変位測定装置により, 犬歯の脈動の測定が可能となった. 2. 安静時の歯の脈動はブラキシズム癖のない被験者とブラキシズム癖のある被験者では, 差異が認められなかった. クレンチング負荷後の歯の脈動は, ブラキシズム癖のない被験者では, 安静時の波形と同様であった. しかし, ブラキシズム癖のある被験者では波形の変化が認められた. 3. ブラキシズム癖のない被験者では, 10度急傾斜なガイドを付与したことによる歯の脈動の変化は認められなかった.また, 20度急傾斜なガイドを付与したことによりブラキシズム癖のある被験者のクレンチング後と同様の波形が認められた.
    結論: 本被験者において, 10度急傾斜なガイドは歯周組織が許容できる範囲内であった. 20度急傾斜なガイドは, 歯周組織が許容できないため, 不適切なガイド傾斜角であると判定した.
  • 臼歯抜歯と臼歯歯冠切除の違い
    佐々木 快輔
    2002 年46 巻2 号 p. 185-194
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は, ラットにおいて臼歯抜歯と臼歯歯冠切除による咬合支持の喪失が高次脳機能へ及ぼす影響を同一条件下で, 行動学的および薬理学的に検討した.
    方法: 実験にはWistar系雄性ラットを用い, 上顎臼歯を抜歯した臼歯喪失群, 上顎臼歯歯冠部を切除した歯冠切除群 (各10匹), および非処置の対照群 (10匹) を設定した. 抜歯および歯冠切除後1, 3, 7週目に放射状迷路課題における遅延試行試験を行った. 迷路実験終了後, 大脳皮質, 線条体, 海馬の神経伝達物質のアセチルコリン (ACh), ノルアドレナリン (NE), ドーパミン (DA), セロトニン (5-HT), および代謝産物のコリン (Ch), ドーパック (DOPAC), 5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-HIAA) の含有量の測定を行った.
    結果: 行動学的観察結果から, 実験群は対照群に比較して迷路課題の遂行阻害を認め, その程度は臼歯喪失群で顕著であった. 薬理学的観察結果から, 歯冠切除群は海馬においてのみDA含有量の低下を認めたのに対し, 臼歯喪失群は海馬および線条体のDA含有量に低下を認めた. 行動学的実験における成績と神経伝達物質の含有量との相関から, 線条体において歯冠切除群はACh含有量に相関を認め, 臼歯喪失群はAChおよびDA含有量に相関を認めた.
    結論: 高次脳機能に及ぼす影響は臼歯喪失群と歯冠切除群で異なり, その影響は臼歯喪失群で顕著であることが示唆された.
  • 齋藤 隆哉, 小出 馨, 浅沼 直樹, 西巻 仁, 植木 誠
    2002 年46 巻2 号 p. 195-202
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 咬合採得および咬合調整を行う際の基準となる筋肉位に対して, 表情筋の緊張が及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 表情筋により口角を後方へ強く牽引したときの下顎の偏位を測定した.
    方法: 顎口腔系に機能異常を認めない被験者13名に座位で自然頭位をとらせ, アンテリアジグを装着し, 上下歯列の接触による影響を排除して実験を行った. 筋肉位で閉口した状態から口角を後方へ強く牽引したとき, その後さらにタッピングを行ったときの下顎の偏位を継続的に光学系非接触方式の三次元6自由度下顎運動測定装置であるナソヘキサグラフ®に改良を加えて測定し, 比較した.
    結果: 筋肉位と比較して口角牽引時には, 切歯点で後方へ平均0.18mm, 左側顆頭点で平均0.00mm, 右側顆頭点で後方へ平均0.04mmの偏位が認められ, 前後方向に大きなばらつきがみられた.筋肉位と比較して口角牽引状態でのタッピング時には, 切歯点で後方へ平均0.50mm, 左側顆頭点で後方へ平均0.25mm, 右側顆頭点で後方へ0.36mmの偏位が認められた.
    結論: 表情筋を緊張させることにより口角を後方へ強く牽引すると, 筋肉位に対して下顎は偏位を示し, 前後方向に大きなばらつきがみられた. 口角牽引状態でタッピングを行うと, 下顎は筋肉位より著明に後方へ偏位することが明らかとなった.
  • 三好 礼子
    2002 年46 巻2 号 p. 203-212
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    目的: 生体機能に調和した咬合面形態の基準を求めるために, 咬合小面を6種類に細分類し, 咀嚼第4相付近における咬合接触状態を解析して, 各咬合小面の役割について検討することを目的とした.
    方法: 6自由度顎運動測定器を用いて, 14名の被験者についてガム咀嚼時の顎運動を測定し, これと歯列模型の三次元形態計測データとを座標系の変換によって重ね合わせ, 上下顎歯列の位置関係を時系列で解析した. 主機能部位側臼歯部の咬合小面を法線ベクトルの成分などによって面の向く内外的 (A, B, C), 前後的 (M, D) 方向などからAM, AD, BM, BD, CM, CDの6種に細分類し, 阻嚼第4相付近の動的咬合接触状態を解析した.
    結果: 咀嚼の第4相付近ではAM, またはCM咬合小面が対顎咬合面との距離が小さく, 同時に咀嚼運動路との角度差も小さい傾向にあり, これらの咬合小面が食品を介在させながらも運動を誘導していることが示された. なかでも, 下顎のAM咬合小面が対顎咬合面とより近接し, 誘導に大きく関与していることが推察された. 終末位に至る咀嚼運動路のB咬合小面に対する入射角度はBD咬合小面が約30°で, BM咬合小面に対する約40°に比べて小さく, BD咬合小面が食品の圧搾に重要な役割を果たしていることが示唆された.
    結論: 臼歯部咬合小面を細分類し, 各咬合小面の咀嚼における役割を示した.
  • 森川 理, 大竹 貫洋, 埴 英郎, 松村 光明, 三浦 宏之, 高橋 英和, 西村 文夫, 本橋 孝志
    2002 年46 巻2 号 p. 213-222
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 口腔内で使用する合金は生体適合性に優れ, 各種修復物に応用可能なものが望まれる. 最近, 耐食性に優れ, 生体適合性も良いとされる歯科用金チタン合金が市販された. そこで, この合金の機械的性質および陶材との焼付強さを測定し, その有用性を検討した.
    方法: 実験には市販の陶材焼付用金チタン合金を使用した. 各種鋳造試験片はメーカーの指示に従って鋳造, 熱処理を行い作製した. 機械的特性として引張特性, 硬さを, 熱的特性として熱膨張係数を測定した. 金チタン合金と従来型陶材, 超低溶陶材との焼付強さをDIN13927に準じて求めた. 対照として, 従来の陶材焼付用金合金と従来型陶材の焼付強さも求めた. 金チタン合金に従来型陶材を築盛し割断した試料をEPMA分析した.
    結果: 引張特性と硬さは熱処理により変化し, 軟化熱処理した値は有意に小さかった. 硬化熱処理ではタイプ4金合金に近い機械的性質を示した. 熱膨張係数は従来の陶材焼付用金合金よりも大きかった. 焼付強さはいずれの陶材を用いても40MPa以上を示し, 従来型陶材焼付用金合金の値とは有意な差を認めなかった. 剥離面を観察したところ金属側には陶材の成分が, 陶材側にはチタンが存在していた.割断面を観察したところ, 焼付界面直下に酸化チタンが認められた.
    結論: 今回検討した金チタン合金は, 単一合金で広範囲な修復が可能な機械的性質を有し, かつ十分な焼付強さを示したことからその有用性が示唆された.
  • 第1報口腔微生物の影響
    高山 慈子, 三浦 英司, 細井 紀雄, 石川 正夫, 渋谷 耕司
    2002 年46 巻2 号 p. 223-232
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は, 金銀パラジウム合金の変色と, 口腔微生物ならびにVSC (CH3SH, H2S) 産生量との関連性をin vitroで明らかにすることを目的としている.
    方法: 4種の歯科鋳造用金属試料をFusobacterium nucleatumまたはStreptococcus mutansを加えたTHB培地 (一部L-Cysteine添加) に入れ, 37℃で嫌気培養を4週間行った. 培養後, 試料の輝度, 色調の測定ならびに定性分析を行った.
    結果: 1. F. nucleatumを培養した培地で, 金銀パラジウム合金は輝度, 色差ともに大きな変化を示した. 2. 金銀パラジウム合金は, 口腔微生物のない状態やS. mutans培養環境下でも色調変化が認められ, L-Cysteineを添加すると顕著となった. 3. チタン, コバルトクロム合金, 白金加金は変色が少なかったが, 口腔微生物培養環境下でより輝度の低下を認めた. 4. 定性分析の結果, 金銀パラジウム合金試料では全条件で硫黄 (S) が検出された.
    結論: 本研究により金銀パラジウム合金の変色と口腔微生物, VSC産生量との関連性が検証された. VSCを多量に産生するF. nucleatumは, 歯周病や口臭の原因菌とされており, 金銀パラジウム合金の変色や腐食は, 歯周疾患, 口腔清掃状態などの口腔内環境と深いかかわりがあることが判明した.
  • 星合 和基, 田中 貴信, 只腰 哲章, 橋本 直明, 文田 清美, 野崎 乃里江, 岡崎 祥子, 水野 巖根, 長谷川 明
    2002 年46 巻2 号 p. 233-240
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: バルビツール酸誘導体を触媒に用いた常温重合レジンによる比較的短時間で作業を行う場合の初期硬化時間, 重合時の加熱, 温水中での硬化操作などの初期硬化時の最適使用条件を追及し, その的確な使用方法の確立を目指して, 基礎的な検討を行った.
    方法: 常温重合レジンで作製された被着体に, 同一の常温重合レジンを筆積みし, 所定の時間放置した後, 温水中に所定時間浸漬して重合後, その剪断接着強さを測定した. その際の放置時間, 温水温度, 浸漬時間の接着強さに及ぼす影響を調べた. 同時に, 試料の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した. また, 各試料の破断状態を目視により分類した. 破壊の状態の判定は, 界面破壊, 凝集破壊, 混合破壊とした.
    結果: 放置時間が30秒では, 浸漬時間30, 45, 60秒の場合のいずれも温水温度の上昇とともに剪断接着強さが増加した. また, 走査型電子顕微鏡で凝集破壊像が観察された試料は, 剪断接着強さは約10MPa以上であることが確認された. 特に, 浸漬時間60秒の場合, 50°C, 60°Cの温水温度ですべての試料が凝集破壊像を示した.
    結論: バルビツール酸誘導体を用いた常温重合レジンは50°C以上の温水中で十分硬化することが確認された.
  • 倉茂 尚徳
    2002 年46 巻2 号 p. 241-250
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 接着耐久性をin vitroで検討する長期浸漬試験は蒸留水中で行われてきた. しかし, 口腔内のpH値は, 2.3-8.0まで変化するとされている. そこで, 口腔内pHの上下限値と同じpHの溶液中で浸漬試験を実施して, 蒸留水浸漬の場合との接着耐久性の違いを検討した.
    方法: 3種類の歯科用合金および歯科用陶材を被着体として, 接着試験片を作製した. これらをpH2.3の乳酸水溶液, pH8.0の炭酸水素ナトリウム水溶液およびpH6.0の蒸留水の3種類の浸漬液に最長で36カ月まで浸漬した. 浸漬終了後, 剪断接着強さを測定した.
    結果: 金銀パラジウム合金およびCo-Cr合金をスーパーボンドC&Bで接着した場合には, 蒸留水 (pH6.0) 浸漬において接着強さの著しい低下を生じた. 金銀パラジウム合金およびNi-Cr合金をパナビア・フルオロセメントで接着した場合には, 乳酸水溶液 (pH2.3) 浸漬において接着強さが著明に低下した. また, 被着体が陶材の場合には, すべての接着強さ測定において陶材の凝集破壊が生じたため, 接着耐久性の検討は行えなかった.
    結論: 歯科用合金, 接着用表面処理が異なっても, 接着性レジンおよび浸漬液のpHが同じであれば, 接着耐久性には類似した傾向が認められた.
  • 村口 浩一, 南 弘之, 倉茂 尚徳, 木村 孝広, 嶺崎 良人, 鬼塚 雅, 田中 卓男
    2002 年46 巻2 号 p. 251-259
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 硬質レジン前装冠は, 審美的修復物として臨床においてしばしば用いられている. 接着技法の進歩により, 前装部レジンが金属フレームから脱落することを経験する機会は減少している. しかし, それに伴い, 装着後長期間経過すると, 変色や光沢の消失など前装部レジンの劣化が認められ, 審美性の低下が引き起こされる. 熱サイクル負荷は, 前装用硬質レジンの劣化を引き起こす原因の1つと考えられるが, その影響は解明されていない. 本研究では, 熱サイクル負荷が, 前装用硬質レジンの表面性状に与える影響について検討を行った.
    方法: 4種類の光重合型の前装材料を用いて, 正方形 (8×8×1.5mm) の試験片を作製し, 測定面は臨床での技法に準じて研磨した. 4°Cと60°Cの水中に60秒ずつ浸漬する熱サイクル負荷を最大で50, 000回付与した後に, 肉眼的観察や色素浸透試験, 表面粗さの測定, 走査型電子顕微鏡 (SEM) による微細構造の観察を行った.
    結果: 熱サイクル負荷後の試験片では, 肉眼的には粗造感と光沢の消失が認められ, 色素浸透試験による色素の浸透は増大した. また, 表面粗さは負荷前に比較して増加した. さらに, SEM観察では, クラックや陥凹の発生が認められた.
    結論: これらのことから, 熱サイクル負荷は, 硬質レジンの表面性状に多くの変化を引き起こし, 審美性を低下させる要因であることが明らかとなった.
  • 増田 美樹子, 早川 徹, 渡辺 官, 五十嵐 郁, 高橋 徹也, 北川 剛至, 會田 雅啓
    2002 年46 巻2 号 p. 260-269
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 日常の臨床において歯冠補綴物の脱離がみられるが, そのほとんどがポストを有する鋳造築造体からの脱離である. 原因については, ポストの形態や応力分布など力学的観点からの究明が多い. 接着性からの検討も行われているがわずかであり, 歯冠象牙質を対象としているのが現状である. そこで今回は, 築造体の脱離の原因を歯根象牙質とレジンセメントとの接着性から究明するため, その第一歩として歯冠および歯根象牙質に対するレジンセメントとの接着性について検討を行った.
    方法: 被着体は, 抜歯直後冷凍保存した人歯を使用直前に自然解凍し, #1000の耐水紙にて露出させた歯冠および歯根象牙質を用いた. 歯冠および歯根象牙質に対する4種の市販レジンセメントとの接着性, 前処理材処理後およびレジンセメント接着後のレジンタグの状態を電子顕微鏡によって観察を行った.
    結果: 4種のレジンセメントのすべてにおいて, 歯冠象牙質に対する接着性が歯根象牙質に対する接着性より高かった. また, 前処理材によるスメア層の除去効果は歯冠において顕著であった. さらに, 歯冠象牙質において長いレジンタグが存在していることが確認できた.
    結論: 歯根象牙質におけるスメア層の処理効果を歯冠象牙質と同程度に行うことが, 歯根象牙質に対するレジンセメントの接着性を高める一因となりうることが示唆された.
  • 仲西 健樹, 龍田 光弘, 松谷 善雄, 松島 諒, 上田 直克, 更谷 啓治, 川添 堯彬
    2002 年46 巻2 号 p. 270-276
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 上部構造をスクリューで装着する際の締め付けトルクの大きさが, Intramobile Connector (IMC) あるいはチタンエレメントを用いたIMZインプラントの機械モビリティに及ぼす影響を検討し, IMZインプラントにおける適切な締め付けトルク値を明らかにすることを目的とした.
    方法: 被験インプラントとして, 5人の患者の口腔内で機能している8本のIMZインプラントを選択した. 個々のインプラントにIMCを用いた場合と, チタンエレメントを用いた場合について, 同一の上部構造を専用のトルクレンチを用いて85, 145および180Nmmのトルクで装着し, 水平的機械モビリティをわれわれの開発した動揺度自動診断システムを用いて3回ずつ測定した.
    結果: IMCを用いたIMZインプラントでは, トルク値が大きくなるに従い機械モビリティが小さくなった. Friedman検定の結果, IMCを用いたIMZインプラントの機械モビリティは, トルク値によって有意な変動を示すことがわかった (p<0.01). しかし, チタンエレメントを用いた場合は有意な変動は示さなかった.85あるいは145Nmmで上部構造を装着した場合, インプラントの機械モビリティはIMCを用いたインプラントと, チタンエレメントを用いたインプラントとの間に有意な差が認められた (p<0.05).しかし, 180Nmmで締め付けた場合, その差は小さかった.
    結論: IMCのもつ側方ストレス分散効果を損なわないためには, 85, 145Nmmで上部構造を固定する必要がある.
  • 栗原 大介
    2002 年46 巻2 号 p. 277-278
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 英夫
    2002 年46 巻2 号 p. 279-280
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 藤田 哲夫
    2002 年46 巻2 号 p. 281-282
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 村岡 正規
    2002 年46 巻2 号 p. 283-284
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 芝野 みほ子
    2002 年46 巻2 号 p. 285-286
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 吉田 光由
    2002 年46 巻2 号 p. 287-288
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 阿部 泰彦
    2002 年46 巻2 号 p. 289-290
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 中居 伸行
    2002 年46 巻2 号 p. 291-292
    発行日: 2002/04/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
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