日本補綴歯科学会雑誌
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バルビツール酸誘導体を用いた常温重合レジンの最適使用条件の検討
星合 和基田中 貴信只腰 哲章橋本 直明文田 清美野崎 乃里江岡崎 祥子水野 巖根長谷川 明
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2002 年 46 巻 2 号 p. 233-240

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抄録

目的: バルビツール酸誘導体を触媒に用いた常温重合レジンによる比較的短時間で作業を行う場合の初期硬化時間, 重合時の加熱, 温水中での硬化操作などの初期硬化時の最適使用条件を追及し, その的確な使用方法の確立を目指して, 基礎的な検討を行った.
方法: 常温重合レジンで作製された被着体に, 同一の常温重合レジンを筆積みし, 所定の時間放置した後, 温水中に所定時間浸漬して重合後, その剪断接着強さを測定した. その際の放置時間, 温水温度, 浸漬時間の接着強さに及ぼす影響を調べた. 同時に, 試料の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した. また, 各試料の破断状態を目視により分類した. 破壊の状態の判定は, 界面破壊, 凝集破壊, 混合破壊とした.
結果: 放置時間が30秒では, 浸漬時間30, 45, 60秒の場合のいずれも温水温度の上昇とともに剪断接着強さが増加した. また, 走査型電子顕微鏡で凝集破壊像が観察された試料は, 剪断接着強さは約10MPa以上であることが確認された. 特に, 浸漬時間60秒の場合, 50°C, 60°Cの温水温度ですべての試料が凝集破壊像を示した.
結論: バルビツール酸誘導体を用いた常温重合レジンは50°C以上の温水中で十分硬化することが確認された.

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