日本補綴歯科学会雑誌
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コーヌステレスコープの優位性
確実な装着効果と良好な長期経過
後藤 忠正五十嵐 順正
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2004 年 48 巻 1 号 p. 2-9

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抄録
「コーヌステレスコープか磁性アタッチメントか」の問いかけには, 的確な答えはできない. 両者の機能の場は全く違ったものであり, どちらかの選択を迫られることはあまりない. 義歯の設計原則として,(1)“義歯の動揺” の最小化,(2) 予防歯学的配慮,(3) 義歯破損の防止, を提唱している. 支台装置はこの原則に沿って選択・設計される. 磁性アタッチメントでは設計原則を満たすことは難しい. この装置は支持と維持とを分離できないから, 支台歯の負担能力によっては, きわめて矛盾した条件での適応となる. さらに把持が乏しいため, 維持力を大きく設定する傾向がみられ, 支台歯には一層厳しい状況となってくる. キャストベースによる把持の確保が設計の要点である. コーヌステレスコープはリジットサポートを具体化し, 設計原則を満足する最適の補綴方法として, 1974年以来臨床応用をすすめてきたものである. この支台装置は, 欠損歯列修復のあらゆる条件に対応できる. 先に10年以上装着症例群について良好な長期経過を報告し, そして今回20年以上の症例群の経過を述べた. コーヌステレスコープは理論的かつ実際的な合理性, そして確実な装着効果と良好な長期経過から, 臨床的な信頼性と優位性が確実なものとなった.
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