日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
ISSN-L : 0389-5386
オーバーデンチャー適用の基本と支台歯の処置法
長岡 英一
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 48 巻 3 号 p. 354-371

詳細
抄録

目的: オーバーデンチャーは残存歯を支台歯として利用する点でパーシャルデンチャーの一種である.したがって, その適用にあたっては, 歯と顎堤に作用する力のコントロールが重要であり, 本稿はこの観点から支台歯の処置法について論じる.
研究の選択: 力のコントロールにおいて, 歯と義歯を介して伝達される力から歯周組織と顎堤を保護することが重要である.歯周組織については, 為害性の強い側方力を軽減するために支台歯への着力点を低くし, 顎堤については歯に支持を求めて負担を軽減する必要がある.着力点の低下は, 支台歯の歯冠部を短縮するオーバーデンチャーの適用例では必然的に得られるが, 歯冠歯根比を改善しさえすれば側方力が軽減できるものではない.オーバーデンチャー適用時の基本と支台歯の処置法に焦点をあて, それらに関する臨床例と研究成果を提示する.
結果: 歯冠歯根比の改善は側方力軽減に有効であるが, 歯が傾斜していたり, 歯根が彎曲している場合, 単なる歯冠歯根比の改善は, その効果を保証するものではなく, オーバーデンチャーではかえって力のコントロールが困難になる.
結論: 支台歯の状態に適した方法で力をコントロールするための適切な診査と的確な診断が求められる.

著者関連情報
© 社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top