日本補綴歯科学会雑誌
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エレクトロフォーミングに関する研究
歯頸部辺縁形態がコーピング形成に及ぼす影響
白土 壽香小峰 太小泉 寛恭村松 透大谷 一紀會田 有希子桟 淑行松村 英雄
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2004 年 48 巻 3 号 p. 413-422

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抄録

目的: エレクトロフォーミング法での歯頸部辺縁形態の相違が, メタルコーピングの適合性および厚さに及ぼす影響を解明することである.
方法: 上顎中切歯の支台歯形態を想定した幅1.0mmのショルダー, ラウンドショルダー, ディープシャンファー (Sタイプ, RSタイプ, DCタイプ) の金属歯型を印象採得し, マスター模型と電鋳歯型を製作した. 電解槽内での位置づけと厚さを規定し, エレクトロフォーミングを行った. 辺縁部を調整後, マスター模型に装着し, 辺縁の適合として唇側中央から90°ごとの4点 (a, b, c, d) の垂直的な間隙を測定した. その後, 包埋樹脂にて包埋し, 割断した後, 唇側歯頸外側部, 唇側シャンファーおよびショルダー隅角部, 唇側軸壁下部, 舌側軸壁下部, 舌側シャンファーおよびショルダー隅角部, 舌側歯頸外側部 (A, B, C, D, E, F) での内面的適合および厚さを測定した. 測定は走査レーザー顕微鏡を用い, 試料数は各形態5個とした. 統計処理にはKruskal-Wallis testとBonferroni Correctionを用いた (p<0.05).
結果: 辺縁の適合は, 全測定点でSタイプはほかと比較し有意に間隙が大きくなった. また, 内面的適合もA, BおよびFで, Sタイプはほかと比較し有意に間隙が大きくなった. 厚さはBおよびEでSタイプは平均51.2および56.3μmと, ほかと比較し有意に薄くなった.
結論: 歯頸部辺縁形態の相違がエレクトロフォーミングでのメタルコーピングの形成に影響を及ぼすことが示唆された.

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