日本補綴歯科学会雑誌
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ガイドプレーンの設定条件がエーカースクラスプ装着時の支台歯変位に及ぼす影響
川村 真之小出 馨佐藤 利英石井 広信
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2006 年 50 巻 1 号 p. 73-82

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抄録
目的: ガイドプレーンの設定条件が, エーカースクラスプ装着過程に生じる支台歯変位に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 3種類の異なるガイドプレーンを設定し比較検討した.
方法: シリコーンラバー印象材による擬似歯根膜を付与した実験用模型を製作した. 鉤体部相当部のみのガイドプレーン (G1), その範囲を維持領域に対して対角線上の拮抗腕肩部相当部にまで広げたガイドプレーン (G2), さらに拮抗腕部全体に相当する部位のガイドプレーン (G3) をそれぞれ付与した3種の支台歯を製作し, 各支台歯に対してエーカースクラスプを製作した. シミュレーター上でエーカースクラスプ装着時に支台歯に生じた支台歯変位量および捻転度をレーザー変位計で検出し, 比較検討した.
結果: クラスプ装着時に生じた支台歯変位量は, 舌側および遠心方向においては, G1がG2, G3と比較して大きい値を示し, G2とG3間には差が認められなかった. 頬側方向においてG1がG2, G3と比較して小さい値を示し, G2とG3間には差が認められなかった. 近心方向および支台歯捻転度においてG1, G2, G3の順に大きい値を示し, 3種の設定条件間で差が認められた.
結論: ガイドプレーンの設定条件の相違がエーカースクラスプ装着時に生じる支台歯変位量に影響を及ぼし, ガイドプレーンの設定条件により支台歯変位抑制効果に差が認められた.
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