日本補綴歯科学会雑誌
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50 巻, 1 号
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  • 魚島 勝美
    2006 年 50 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    (社) 日本補綴歯科学会の第112回および第113回学術大会シンポジウムにおいて, 歯科補綴学と再生医療のかかわりに関するテーマが取り上げられた. 本稿では, この2回のシンポジウムを総括するとともに, 過去21年間の (社) 日本補綴歯科学会における学会発表と発表論文の内容をテーマ刑に集計し, 基礎医学研究や再生医療といったテーマに学会員がいかに取り組んできたかを検証した. その結果, 近年では補綴学的な見地から取り組んだ生物学的な研究や再生医療に関連する報告が若干増加していることが明らかとなった. しかしながら, デンタルインプラントに関しての生物学的な知見に関する報告は増加していない. 最近の再生医療とのかかわりという点では今後の方向性を今一度考え直す必要があることが示された. さらに, 今後の歯科補綴学における再生医療の必要性について若干の私見を交えて考察した. われわれが今まで取り組んできたテーマは必ずしも再生医療とかけ離れたところにあったわけではなく, 再生医療の概念や手法を適切に取り入れることによって, 歯科補綴学領域の研究が再生医療発展に大きく寄与する可能性がある. 本稿が特に若い学会員の今後の研究の方向性に少しでも良い影響を与えることを願っている.
  • 小林 太郎, 武部 純, 似内 秀樹, 古川 良俊, 石橋 寛二
    2006 年 50 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は54歳の男性. 1992年6月に左側口底部の腫瘤に気づき, 岩手医科大学歯学部附属病院口腔外科を受診した. 同年9月に下顎左側口底癌の診断のもと, 腫瘍摘出術が施行された. その後, 左側下顎骨放射線性骨壊死と下顎骨骨折が認められたため, 1993年3月に左側下顎骨区域切除が行われた. 術後経過は良好であったが再建は行われず, 1996年2月に補綴的機能回復を目的として第二補綴科を受診した. 下顎の患側偏位により上顎との咬合接触関係が失われていたため, 下顎顎義歯装着後, 1997年11月に下顎顎義歯ならびに下顎歯列との咬合接触部を設けた口蓋床を製作し装着した. 2001年4月に下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床を再製作後, 患側への偏位の抑制と咀嚼機能の改善が認められている.
    考察: 下顎の偏位の防止と咀嚼機能の回復を目的として, 口蓋部の咬合接触域にパラタルランプを付与した口蓋床を装着した. その結果, 咀嚼筋のバランスを保つことができ, 下顎の患側への偏位の抑制を図ることができた. 咀嚼機能と構音機能の改善程度を評価したところ, 下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床の装着により摂取可能食品の増加が認められた. また, 狭まったドンダーズ空隙を広げることにより, 構音機能の改善も認められた.
    結論: 下顎骨非再建症例における下顎顎義歯と, これに咬合接触する口蓋床の装着は, 下顎の患側への偏位の抑制と咀嚼機能の回復に有効であることが示された.
  • 支台歯色がコーピングの色調に及ぼす影響
    羽田 詩子, 山村 理, 川内 大輔, 藤井 輝久
    2006 年 50 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目印: 歯科臨床において審美性と機能の調和が求められ, オールセラミッククラウンによる歯冠修復が普及している. 修復物の製作において, 天然歯の形態と色調の再現が重要である. しかし, 透明性が高いコーピング材料では, 支台歯の色調がコーピングの色調に影響を与える. そこで, 3種類のオールセラミック材料, Empress, Empress2 (IVOCLAR VIVADENT), Procera AllCeram (Nobel Biocare) について, 支台歯の色調がコーピングの色調に与える影響を評価した.
    方法: 上顎左側中切歯にEmpress (TC1), Empress2 (100), Procera AllCeram (ホワイティシュ) のコーピングを厚さ0.5mmに製作した. 支台歯はIPS Empress System (IVOCLAR VIVADENT) のダイマテリアル6種 (ST1, ST2, ST3, ST5, ST8, ST9), 金銀パラジウム合金, 金合金, 実験的黒体を用いて製作した. 各支台歯に3種類のコーピングを装着し, 歯冠頬側中央部を高速分光光度計を用いて測色し, L*a*b*表色系にて比較検討した.
    結果: 彩度の高いほうから, Procera, Empress2, Empress, 明度の高いほうからEmpress2, Procera, Empressの順であった. Dryの条件 (支台歯とコーピングを乾燥し装着した条件) あるいはWetの条件 (支台歯とコーピングの間に水を介在させ装着した条件) 下で測色した場合を比較すると, コーピングの色調は, 特に彩度に影響を及ぼした. Wetの条件で測定したST1を除く全ての条件について, 支台歯色との色差はEmpress2, Procera, Empressの順に小さくなることがわかった.
    結論: 二支台歯の色調を反映する順序はEmpress, Procera, Empress2であった. 臨床および技工操作においてはWetな条件で色調を観察および測定することが望まれる.
  • 新井 是宣, 鶴身 暁子, 鷹尾 智典, 金 賢黙, 石田 安宏, 田中 昌博, 川添 尭彬
    2006 年 50 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 短縮歯列を容認する説が多く報告されている. しかし, 客観的データに基づく報告はあまり見受けられない. 本研究では, 顎機能異常を認めない短縮歯列群の客観的データを集積することを目的とした.
    方法: 被検者に, 短縮歯列群として下顎両側遊離端欠損で, 大臼歯欠損後5年以上である被検者7名 (平均年齢59.3±13.2歳) を, 健常歯列群として健常有歯顎者7名 (平均年齢61.3±9.6歳) を選択した. 検査項目は, 咬合接触面積, 咬合圧重心, オクルージョンタイム, 歯間離開度とした. 統計学的解析はMann-Whitney U検定を用い, 有意水準は5%を採用した.
    結果: 短縮歯列群では, 健常歯列群と比較して, 1. 咬合接触面積は, 小臼歯部において有意に大きかった. 2. 咬合圧重心は, 左右的に両群に有意な差は認められなかったが, 前後的には前方に位置していた. 3. オクルージョンタイムは, 長い傾向を示した. 4. 歯間離開度は, 側切歯・犬歯間, 犬歯・第一小臼歯間, 第一小臼歯・第二小臼歯間において有意に大きい値を示した.
    結論: 臨床検査の結果から, 大臼歯における咬合支持の喪失を伴う短縮歯列群では, 健常歯列群と相違が認められた.
  • 矢儀 一智, 前田 芳信, 十河 基文, 津川 剛, 石井 和雄
    2006 年 50 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 2回法インプラント治療において, 無歯顎症例の場合の治癒期間における粘膜調整材を用いたインプラント体への緩圧効果について, 粘膜調整材の厚みと経時的性状変化の影響を, 義歯の厚みという限られたクリアランス下において明らかにすること.
    方法: 実験方法は, 口腔内で想定される義歯, 粘膜調整材, 粘膜の3要因の厚みを変化させ, 緩圧効果に及ぼす影響を一定静荷重開放系条件下にて経時的に検討した.粘膜調整材は松風製ティッシュコンディショナーとし, 規定粉液比で練和し用いた。圧力計測装置は共和電業製小型圧力センサーを用い, 練和後5分の試料と, 練和後5分の試料を常温水中に保管した1週間後, 2週間後の試料を用いて計測を行った.荷重は直径3ミリの半球形の押針をもつ荷重計を用い, 2kgの一定荷重を2分間平板義歯モデル上面からインプラント埋入相当部に加えた.
    結果: 一定静荷重開放系条件下において, 義歯と粘膜とが接触することのない粘膜調整材の介在条件では, 介在する粘膜調整材の厚みにかかわらず, 粘膜調整材を用いなかったときよりも低い圧力値を示し, 2週間の範囲で圧力値の変化は小さかった.
    結論: 一定静荷重開放系条件下における粘膜調整材を用いた緩圧効果について, 限られたクリアランス下たおいても粘膜調整材を義歯と粘膜とが接触することなく介在できる条件では, 粘膜調整材の厚みと経時的性状変化の影響は小さいことが示唆された。
  • 淺野 隆, 川良 美佐雄, 鈴木 浩司, 小見山 道, 福本 雅彦, 飯田 崇
    2006 年 50 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 身体運動時においては, 下顎が固定されていると思われるが, その動態については明らかにされていない.そこで, 今回は背筋力を最大発揮した場合の咀嚼筋筋活動様相について検討した.
    方法: 被験者は健常有歯顎者9名であり, 汎用背筋力計を用いて背筋力を最大発揮させた.背筋力発揮時およびピーナッツ咀嚼時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動様相を計測した.また, 最大随意噛みしめ時の側頭筋および咬筋の筋活動量と, 最大随意開口抵抗時の顎二腹筋の筋活動量を計測し, 最大随意筋活動量を得た.得られた筋活動量より, 各咀嚼筋の最大随意筋活動量に対する相対比率を求め, 背筋力発揮時, ピーナッツ咀嚼時, および最大筋活動量の筋活動量を比較した.
    結果: 背筋力発揮時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動はそれぞれ最大随意筋活動量に対して321, 26.4, 97.4%であった.また, ピー一ナッツ咀嚼時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動はそれぞれ最大随意筋活動量に対して40.7, 36.0, 17.3%であった.
    結論: 背筋力を発揮する場面においては, 側頭筋および咬筋で約30%, 顎二腹筋で100%近い筋活動がみられた.咀嚼筋群は開閉口筋ともに活動するが, その様相から特に顎二腹筋が下顎の固定筋として密接に関与することが示唆された.
  • 下顎顎堤形態との関連
    判治 泰光, 鈴木 清貴, 椎名 順朗
    2006 年 50 巻 1 号 p. 54-63
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は全部床義歯患者における義歯装着後の義歯調整回数に下顎顎堤の吸収程度が関連しているかを明らかにすることである.
    方法: 調査対象者は77名 (男性34名, 女性43名, 平均年齢69.1±8.1歳) の全部床義歯患者である. 新義歯製作過程におけるゴシックアーチ描記時の咬合床を用い, 下顎左右側の犬歯相当部 (以後C), 第一小臼歯相当部 (以後P1), 第二小臼歯相当部 (以後P2), 第一大臼歯相当部 (以後M1) の顎堤の幅, 高さ, 仮想咬合平面に対する傾斜度を分析し, 義歯調整回数との関連について検討した.
    結果: 義歯の調整回数は平均4.4±1.8回 (男性38回, 女性50回) で男女間に有意差が認められた (P<0.01). 顎堤の幅は平均C: 97mm, P1: 10.4mm, P2: 115mm, M1: 13.0mm, 顎堤の高さは平均C: 4.3mm, P1: 4.6mm, P2: 49mm, M1: 52mm, 顎堤の傾斜度は平均C: 11.2°, P1: 13.5°, P2: 1 5.4°, M1: 18.8°であった. 顎堤の幅と高さはすべての部位で男性が女性よりも有意に大きかった (P<0.05). 男性は調整回数が多い症例で顎堤が低く, 調整回数が少ない症例との問に, 有意差が認められた (p<0.05).
    結論: 全部床義歯患者における義歯調整回数は顎堤の高さとの間に関連が認められた.
  • 第1報言語データの質的解析とコーディングの妥当性
    菅野 京子, 河相 安彦, 小林 喜平
    2006 年 50 巻 1 号 p. 64-72
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 歯列欠損者への義歯に関する個別インタビューから得られた質的データの収集および分析を行い, 患者の言葉を基本とした質問票のための質問項目の抽出を目的とした.
    方法: 日本大学松戸歯学部附属歯科病院に来院した患者のなかから, 総義歯装着者20名, 部分床義歯装着者20名, 義歯装着未経験無歯顎者3名を対象に, Triandis theoryに基づき設定した10の質問項目を用い, 開かれた質問にて回答を求めた. 記録した会話内容を文字化, フラグメント化およびエディティングをした後に, コーディングを行った. さらに, コーディングされた項目をTriandis theoryを構成する意志 (以下, 1), 社会因子 (以下, SF), 情動因子 (以下, A) および帰結因子 (以下, PC) に類型し質問票の項目として抽出した.
    結果: 会話内容の文字化, フラグメント化およびエディティングの結果, 722の言語が集積された. コーディングの結果, 72コードに集約され, I: 12項目, SF: 9項目, A: 9項目, PC: 42項目に類型された.
    結論: 72コードは歯列欠損者の言語データの集約であり, またSF, AおよびPCを含有していることから義歯の受容 (1) を検討する質問票の項目として構成的に妥当であることが示唆された. 今後, 得られた質問票を用いた大規模調査を行い, 義歯受容に関する行動科学的分析を加えることが必須であると考えられる.
  • 川村 真之, 小出 馨, 佐藤 利英, 石井 広信
    2006 年 50 巻 1 号 p. 73-82
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: ガイドプレーンの設定条件が, エーカースクラスプ装着過程に生じる支台歯変位に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 3種類の異なるガイドプレーンを設定し比較検討した.
    方法: シリコーンラバー印象材による擬似歯根膜を付与した実験用模型を製作した. 鉤体部相当部のみのガイドプレーン (G1), その範囲を維持領域に対して対角線上の拮抗腕肩部相当部にまで広げたガイドプレーン (G2), さらに拮抗腕部全体に相当する部位のガイドプレーン (G3) をそれぞれ付与した3種の支台歯を製作し, 各支台歯に対してエーカースクラスプを製作した. シミュレーター上でエーカースクラスプ装着時に支台歯に生じた支台歯変位量および捻転度をレーザー変位計で検出し, 比較検討した.
    結果: クラスプ装着時に生じた支台歯変位量は, 舌側および遠心方向においては, G1がG2, G3と比較して大きい値を示し, G2とG3間には差が認められなかった. 頬側方向においてG1がG2, G3と比較して小さい値を示し, G2とG3間には差が認められなかった. 近心方向および支台歯捻転度においてG1, G2, G3の順に大きい値を示し, 3種の設定条件間で差が認められた.
    結論: ガイドプレーンの設定条件の相違がエーカースクラスプ装着時に生じる支台歯変位量に影響を及ぼし, ガイドプレーンの設定条件により支台歯変位抑制効果に差が認められた.
  • 若見 昌信
    2006 年 50 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は前歯部変色による審美障害を主訴として来院した.漂白法では改善できないと診断され, ポーセレンラミネートベニア修復法を行うことにした.
    考察: 患者の満足を得るために何度もシェードマッチングや形態修正を行うことにより, 診療時間が延長した.支台歯の形成はエナメル質に限局すべきであるが, 象牙質が露出した場合, 象牙質の処理を行い接着することが重要である.
    結論: 本症例の経過により, 以下の示唆が得られた.漂白法との選択基準を設定し併用も考慮する.形成はエナメル質に限局させるが, 象牙質が露出した場合はリン酸エッチング剤を避ける.接着操作時間を短くするよう工夫する.
  • 鈴木 みどり
    2006 年 50 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は48歳の男性.原因不明の小口症で, 歯の欠損に伴う咀嚼障害および審美障害により来院.トレーを使用しない概形印象, 分割トレーと分割咬合床を用いて最終印象と咬合採得を行った.上顎は前後的に, 下顎は左右的に分割可能なレジン床義歯を設計, 製作し, 上下顎同時に装着した.
    考察: 小口症で残存歯はすれ違い, 高度の歯周疾患という悪条件ではあったが, 低いカリエスアクティビティーと咬合力が小さいことが幸いし, 適切なプラークコントロールと分割接合部を単純に設計したことが効果的であった.
    結論: 小口症患者にレジン床の分割義歯を装着し, 大きな破損もなく装着から6年間良好な経過を得ることができた.
  • 大平 千之
    2006 年 50 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 70歳の男性で, 下顎義歯不適合による咀嚼障害を訴え来院した.65567欠損および4334 に装着された硬質レジン前装鋳造冠の不適合と診断し, 硬質レジン前装鋳造冠装着後, オルタードキャスト法を利用しコバルトクロム合金金属床義歯を製作, 装着した.義歯装着後3年経過するが, 経過は良好であった.
    考察: 本症例は, オルタードキャス法により機能印象を行ったため, 下顎遊離端欠損部に対して最大の支持を得られ良好な経過をたどったものと思われる.
    結論: 片側性遊離端欠損に対してオルタードキャスト法を利用し下顎部分床義歯を製作し, 機能的に良好な結果を得られた.
  • 上田 貴之
    2006 年 50 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 57歳の女性患者で, 咬耗による審美障害, 咀嚼障害, 発音障害を主訴に来院した.全顎にわたる重度の咬耗を認めた.修復部分の金属の露出を避け, かつ, 対合歯の咬耗を防ぐために, ハイブリッド型硬質レジン前装冠を用いて咬合再構成を行った.同時に, 対合歯の咬耗と補綴装置の摩耗を予防するため, ナイトガードを装着した.
    考察: 4年以上の経過観察中に, 補綴装置に顕著な磨耗はみられず, 特記すべきトラブルはない.
    結論: 歯冠補綴装置の前装材料にハイブリッド型硬質レジンを用い, ナイトガードを使用させることで, 金属色を露出させず, 咬耗・摩耗を防ぎ, 良好な経過を得ることができた.
  • 坂下 勝啓
    2006 年 50 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は60歳の男性で上顎右側ブリッジの動揺を訴えて来院した.(7) 6 (5) 432 (1)(1) ブリッジ脱離, 5歯根破折と診断した.432部に対してミニSGのアタッチメント装置を用いた可撤性ブリッジによる補綴治療を行い, 5年経過するが経過は良好であった.
    考察: 脱離したブリッジの状況から, 固定性ブリッジでは側方力に耐えることが困難であると判断した.また, アタッチメント装着により, 機能的な咬合の安定が図られ, 良好な経過が得られていると思われる.
    結論: 本症例では, アタッチメントを使用することによって装着感のよい可撤性ブリッジとなり, 患者からも十分満足が得られ, 機能的にも良好な結果が得られた.
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