基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382
原著
ストレッチは脱神経後早期における骨格筋の興奮性低下を軽減する
芦田 雪渡邊 大輝宮田 浩文檜森 弘一玉井 勝是木村 伊織阿部 真佐美今井 富裕山田 崇史
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 24 巻 1 号 p. 1-10

詳細
抄録

本研究では,ストレッチ(以下,STR)が,脱神経(以下,DEN)後早期における骨格筋の興奮性低下に及ぼす影響を検討した。Wistar 系雄性ラットをDEN 群およびDEN+STR 群に分け,それらの左側の坐骨神経を切離した。また,DEN+STR 群においては,DEN 側の足関節を背屈位60 度で固定することで,底屈筋に対しSTR を負荷した(0.5 あるいは12 時間/ 日,計2 日間)。DEN 群では,底屈筋のクロナキシーが著しく増大するとともに,運動終板面積の低下,アセチルコリンエステラーゼおよびペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ 共役因子-1α のmRNA 発現量の減少,スキンドファイバーにおける脱分極誘発性張力の低下が観察された。一方,STR は,これらの内,クロナキシーおよび運動終板面積の変化を抑制した。したがって,STR によるメカニカルストレスは,DEN 後早期に生じるシナプス後部の機能障害を抑制することで,骨格筋の興奮性低下を軽減することが示唆された。

著者関連情報
© 2021 日本基礎理学療法学会
次の記事
feedback
Top