本研究では,ストレッチ(以下,STR)が,脱神経(以下,DEN)後早期における骨格筋の興奮性低下に及ぼす影響を検討した。Wistar 系雄性ラットをDEN 群およびDEN+STR 群に分け,それらの左側の坐骨神経を切離した。また,DEN+STR 群においては,DEN 側の足関節を背屈位60 度で固定することで,底屈筋に対しSTR を負荷した(0.5 あるいは12 時間/ 日,計2 日間)。DEN 群では,底屈筋のクロナキシーが著しく増大するとともに,運動終板面積の低下,アセチルコリンエステラーゼおよびペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ 共役因子-1α のmRNA 発現量の減少,スキンドファイバーにおける脱分極誘発性張力の低下が観察された。一方,STR は,これらの内,クロナキシーおよび運動終板面積の変化を抑制した。したがって,STR によるメカニカルストレスは,DEN 後早期に生じるシナプス後部の機能障害を抑制することで,骨格筋の興奮性低下を軽減することが示唆された。