2022 年 25 巻 1 号 p. 18-26
【目的】正常発達過程において,下肢に加わるメカニカルストレスの変化が筋腱複合体における遺伝子発現および形態学的発達に及ぼす影響を探索した。【方法】胎生期および生後早期C57BL/6 を対象として,立ち直り反応試験,歩行観察による行動評価を行った。併せて,下腿三頭筋とアキレス腱における成長関連因子であるTGF-β,腱細胞に発現する転写因子Scx のmRNA 発現レベルを確認した。組織学的解析ではAlcian Blue, HE 染色,Picrosirius Red 染色にて形態発達を観察した。【結果】行動発達により,筋収縮と自重により生じる関節運動によるメカニカルストレスの増大に伴い,腱成熟に関連する因子の発現と段階的組織成熟を認めた。【結論】未熟な組織の成熟に,メカニカルストレスの変化が影響している可能性が示唆された。本研究における知見は,小児期発達や損傷腱の治癒過程における理学療法介入への応用可能性が期待される。