2022 年 23 巻 1 号 p. 65-73
本研究の目的は,COVID-19に感染した看護師の職場復帰に至るまでの経験について明らかにすることである.COVID-19治療病棟に勤務する女性看護師1名を対象に,半構造的面接をオンラインにて行い,質的帰納的に分析した.結果,65コード,24サブカテゴリー,14カテゴリーが形成された.感染前には,COVID-19患者ケアを【志願せざるを得ない状況の中で自らを制御】し,感染直後には,【感染したショックと次々に起こる感染にまつわる不安】を抱えていた.入院中は,【COVID-19患者のケア経験から感染後の不安の増強】を感じていた.復帰時には,【職場の上司との関係性からのストレス】や【復帰してもぬぐえない後遺症や再感染の不安】を感じつつ,【職場復帰に向けて自ら取り組んで心身の強化】をしていた.したがって,COVID-19治療病棟に勤務する看護師には,感染しても復帰しやすい勤務体制の整備および長期的なメンタルサポートの必要性が示唆された.