2022 年 23 巻 1 号 p. 93-103
〔目的〕赤十字の理念を基盤とした施設に勤務経験のある熟練看護師の実践を明らかにする.
〔方法〕赤十字の理念を基盤とした施設に勤務経験のある看護師6名に非構造化面接を行い,質的に分析し記述した.
〔結果〕【みえてくるものすべてからその人らしさを拾う】【その人の気持ちをくみ取り心の風景を読む】【決めつけず,出会ったその時のままを大事にする】【スピード感をもった判断で見通す】【一般的な感覚をもち続ける】【看護ケアへのこだわりをもつ】【看護の考えを視点の異なる他職種に伝える力をもつ】の7つの実践が明らかになった.
〔考察〕赤十字の理念を基盤とした施設に勤務経験のある熟練看護師の実践は,その人らしさを尊重する,「看護とは」を探求し実践にこだわる,という特徴があった.またひとりひとりを大切にする多様性を認める実践は,赤十字の理念である人道とリンクして今日に継承されていた.