日本赤十字看護学会誌
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研究報告
急性期混合病棟で脊髄損傷患者を看護する看護師の感情体験
髙橋 のどか
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2025 年 26 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

本研究の目的は,急性期の脊髄損傷患者を看護する看護師の感情体験を明らかにすることである.急性期混合病棟で脊髄損傷患者の看護経験がある看護師5名に半構成的面接調査を実施した.

データ分析の結果,脊髄損傷という疾患の特異性及び急性期混合病棟の特徴を背景とする感情体験として,7つのカテゴリが抽出された.看護師は脊髄を損傷した【患者の今後を見据え踏み込んだかかわりを躊躇う】が,【入院生活の中で垣間見る患者のプラスの変化により患者への志向が高まる】という感情体験により,同情から共感へとプロセスを経て援助関係の構築に至ることが推察された.また,急性期混合病棟で【多重業務に起因する不全感は割り切らざるを得ない】という対処行動をとっており,ネガティブな感情に対して無意識下で看護師自身の感情や認識を変容する方略を用いていることが推察された.看護師が自身の感情や思考パターンを知ることが必要である.

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© 2025 日本赤十字看護学会
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