2025 年 26 巻 1 号 p. 22-31
目的:透析施設において「終末期ケアを語る会」を展開し,参加者の変化を明らかにする.
方法:アクションリサーチの方法を用い,参加者が安心して透析患者の死をめぐる経験について語り合う場としての「終末期ケアを語る会」の開催をアクションとして16回実施した.
結果:自分の気持ちや考えを話す機会のない日常に気付く,事前指示書の取り組みの難しさから日常的なかかわりの大切さに気付く,透析患者の死を見据えたケアにおける感情を吐露し共有する,これまでの慣例を超えて支えあう組織へと変化する,終末期ケアについて相談し合う場を自分たちで続けようと模索するという5つの変化が見出された.
考察:安心して語り合える場を組織の中で育むことにより,日常的なケアの延長線上に終末期ケアがあることへの気付きと,医師中心の固定化された組織から主体的なケアを協働で実践する組織へと変化する可能性が示唆された.