蘇生
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症例
外傷性出血性ショックに伴う高度貧血に対して
緊急的にRh不適合輸血を施行した1例
清水 敬樹田口 茂正横手 龍五木田 昌士早川 桂矢野 博子勅使河原 勝伸清田 和也
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2012 年 31 巻 1 号 p. 5-9

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抄録
 症例は30歳代の男性。既往歴はうつ病。包丁で自身の両側頸部を刺した。意識は20/JCS,血圧60/33mmHg,心拍数140回/分と出血性ショックであった。内頸動静脈損傷を認め止血した。血型がB型Rhマイナスと判明し,院内にはB型Rhマイナスの濃厚赤血球(MAP)が2単位しか無く発注した。止血後の非活動性出血を圧迫しながらICUへ入室し,在庫にあったB型RhマイナスのMAPを2単位輸血後に緊急避難的にB型RhプラスのMAPを10単位急速輸血した。第58病日に抗Rh抗体が出現し,69病日に2倍,77病日に8倍の抗体を確認した。Rhマイナス患者へのRhプラス輸血は実行されることは少ない。重篤な症例では病歴聴取,交叉適合試験の施行後にRh不適合輸血を考慮すべきである。
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© 2012 日本蘇生学会
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