抄録
CPA傷病者の救急搬送における胸骨圧迫の質を検討する目的で,傷病者宅から病院までの搬送経路でボランティア30名と自動胸骨圧迫装置による胸骨圧迫の深さについて蘇生訓練用人形を用いて測定し,その深さとばらつきを統計学的に比較検討した。用手で深さ5.0cmを越えた人は傷病者宅の床で60%であったが,移動しながらでは1.3%と少なく,ばらつきの大きい質の悪い胸骨圧迫となっていた。一方,自動胸骨圧迫装置では何れの搬送状況でも胸骨圧迫の深さはほぼ一定で,質の高い胸骨圧が維持されていた。これらの比較から,質の高い胸骨圧迫が得られる自動胸骨圧迫装置が搬送中に使用されるべきと推奨された。