抄録
悪性高熱症の既往をもつ女性が椎弓形成術を予定された。その際悪性高熱症に関する精査の希望があり術中に筋生検を施行した。その結果,高い悪性高熱症の素因があり子孫への遺伝の可能性が判明した。同時にそれが家族内で共有されたことが功を奏し,息子が緊急手術を受ける際,悪性高熱症の家族歴を自ら申告した。そのため悪性高熱症への十分な対策の下に安全に麻酔管理を行うことが可能となった。もしこの息子が悪性高熱症に対する認識がなかったら,今回の緊急手術時に悪性高熱症を発症した可能性が高かったと言える。
悪性高熱症という疾患について,患者自身ならびにその家族が十分認識するような啓発活動は重要である。