抄録
中枢神経の虚血耐性はヒトでも誘導される可能性が報告され, 虚血耐性の臨床応用への期待が高まりつつある。また, 虚血耐性の機序に関しても, 必ずしも神経細胞保護蛋白が産生されただけの状態ではないことがわかってきた。DNAマイクロアレイを用いた研究では, 強い侵襲が加わったときに一次的に冬眠のような状態になるように遺伝子発現がプログラムし直されているとする報告もある。虚血耐性を臨床応用するにはcross-toleranceを用いることになるが, その中で麻酔薬 (イソフルランやモルヒネ) , 高圧酸素, ATP感受性Kチャネル開口薬による虚血耐性の誘導が注目される。