蘇生
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敗血症性ショックラットにおけるvasopressinの臓器血流量への影響: norepinephrineとの比較
門井 雄司後藤 文夫
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2006 年 25 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

敗血症性ショックにおけるvasopressinとnorepinephrineの各種臓器血流量への影響を比較検討した。
ラットにエンドトキシン (LPS) 静脈内投与を行い, 30分後からvasopressin0.05IU/min (n=10) またはnorepinephrine0.2μg/kg/min (n=10) の持続投与を開始した。平均血圧のほかに, 超音波プローベを用い心拍出量, 内頚動脈, 腎動脈そして腸間膜動脈の血流量を測定し, LPS投与後4時間まで観察した。Vasopressin (v群) とnorepinephrine (n群) 持続投与は, エンドトキシン (LPS) 静脈内投与により低下した平均血圧や心拍出量を回復させた {平均血圧: LPS投与後v群, n群は各々52±5mmHg, 51±6mmHgへ低下し, 各薬剤投与後1時間後に91±7mmHg, 88±8mmHgとなった (平均値±標準偏差, p<0.05) 。心拍出量: LPS投与後v群, n群は各々6.9±0.5ml/min, 6.7±0.6ml/minへ低下し, 各薬剤投与後1時間後に9.3±0.8ml/min, 9.6±0.8ml/minとなった (p<0.05) 。}
一方, 臓器血流の変化は, vasopressinの持続投与により, 内頚動脈では投与前値と比較して1時間後88±8%, 腸間膜動脈では1時間後61±8%, 腎動脈では投与前値の1時間後80±8%と臓器により効果は一定していなかった。norepinephrineの持続投与は, 腎動脈 (投与前値と比較して1時間後66±6%) および腸間膜動脈 (投与前値と比較して1時間後56±6%) の血流量を低下させたが内頚動脈の血流量 (投与前値と比較して1時間後84±6%) は回復させた。
敗血症性ショックに対するvasopressin0.05IU/minとnorepinephrine0.2μg/kg/minの臓器血流に対する効果は一定しておらず, 両薬剤とも腹腔内血流量を低下させた。

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