2006 年 25 巻 2 号 p. 88-99
脳神経細胞死のメカニズムは長年に亘る神経科学分野の課題である。これまでは, グルタミン酸―Ca2+仮説がその中核をなすと考えられてきた。近年, 免疫抑制剤の脳保護作用からカルシニューリンとミトコンドリア内に存在するイムノフィリンが重要な役割を担っていることが判明した。イムノフィリンはミトコンドリア内膜にMPT (Mitochondrial Permeability Transition) と呼ばれる現象を誘発し, ミトコンドリア機能不全を惹起する。本稿では虚血性神経細胞死のメカニズムについて概略を述べる。