日本鼻科学会会誌
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原著
Endoscopic modified Lothrop procedureが有用であった前頭陥凹骨腫例
牧原 靖一郎石原 久司宮武 智実小林 正佳假谷 伸岡野 光博西﨑 和則
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2014 年 53 巻 4 号 p. 542-546

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抄録
Endoscopic modified Lothrop procedure(EMLP)は内視鏡下で両側前頭洞を単洞化する術式で,Frontal ethmoidal cells type 4などの通常の内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)で前頭洞開放が困難な症例,前頭陥凹の癒着や骨増生を認める症例,眼窩壁や前頭洞後壁の骨欠損を認める症例,鼻外前頭洞手術の不成功症例,前頭洞嚢胞や前頭洞内腫瘍症例などに有用である。今回,EMLPが有用であった前頭陥凹骨腫例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。症例は49歳女性。右眉上部に疼痛を自覚し,当院を紹介受診した。CT上,右前頭陥凹に径22mm大の骨腫像を認め,右前頭洞に充満する軟部陰影像も認めた。以上から前頭陥凹骨腫により鼻前頭管が閉塞して生じた前頭洞炎と診断した。抗菌薬等による保存的治療で改善しなかったので鼻内手術の適応とした。骨腫は前頭蓋底,右眼窩紙様板,篩板側壁,frontal beak,前頭洞中隔,右中鼻甲介と癒合していた。EMLPを施行し,それらの癒合部を安全に処理した上で骨腫を摘出し,前頭洞を広く開放した。術後経過は良好である。今回の結果から,前頭陥凹骨腫に対してEMLPの適用は有用であると考えられる。
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© 2014 日本鼻科学会
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