日本鼻科学会会誌
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原著
鼻内内視鏡下視神経管開放術が奏功した副鼻腔嚢胞による視神経炎例
南 和彦土師 知行
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2014 年 53 巻 4 号 p. 535-541

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抄録
視神経管開放術は外傷や眼窩内の腫瘍性病変などによって視神経が圧迫され,視神経の浮腫などにより二次的な虚血や循環障害によって視神経障害が引き起こされた際に,視神経の減圧を図る目的で施行される。視神経に到達するルートは経頭蓋,経眼窩,経鼻腔の3つがあり,各診療科によって手術が行われている。それぞれの方法には利点,欠点があるが,鼻内内視鏡手術に慣れた耳鼻咽喉科医にとっては内視鏡下に経鼻腔でのアプローチが最も馴染み易く,内視鏡下に視神経管および視神経を拡大明視下に観察することもできる。また,他のアプローチ法と比較して最も低侵襲で,顔面・頭部に皮膚切開を加える必要がない。本邦では,交通事故などの外傷による視力障害に対する視神経管開放術の報告は散見されるが,腫瘍性病変による視力障害に対する報告は我々が確認できた範囲では,ない。今回,副鼻腔嚢胞による視神経管破壊と視力障害を認め,鼻内内視鏡下視神経管開放術を施行し,視力を回復し得た症例を経験したので若干の文献的考察とともに報告する。
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© 2014 日本鼻科学会
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