日本鼻科学会会誌
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原著
局所ステロイド処置による好酸球性副鼻腔炎(ECRS)術後の再燃抑制効果
今野 渉柏木 隆志宇野 匡祐後藤 一貴春名 眞一
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2017 年 56 巻 2 号 p. 97-102

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抄録

好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis,以下ECRS)は難治性で内視鏡下副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery,以下ESS)の後に再燃することが少なくない。今回我々は,ECRS術後の再燃をコントロールするために,ECRS再燃例24例に対してトリアムシノロンアセトニド注射液(ケナコルト®)添加サージセル®を篩骨洞,嗅裂に留置する処置を行い,その効果を検討した。1度処置を行ったA群と2週間の間隔で2度処置を行ったB群を比較すると,2週間後では自他覚所見ともに有意に改善効果が得られた。しかし,1度目の処置後4週間ではB群では改善効果は維持されたが,A群では減弱する傾向が得られた。1度目の処置後4週間に測定した血中ACTHとコルチゾール値は正常範囲であり,ステロイド薬による副作用の危険性は少ないと考えられた。ECRS術後の再燃時に経口ステロイド薬を使用しないで,局所ステロイド処置でコントロールできる可能性が示唆された。

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