日本鼻科学会会誌
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原著
バーチャルリアリティーを用いた内視鏡下鼻副鼻腔手術シミュレーターによる医学教育実習の効果
佐藤 豪神村 盛一郎石谷 圭佑遠藤 亜紀福田 潤弥金村 亮庄野 仁志近藤 英司東 貴弘北村 嘉章
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2023 年 62 巻 4 号 p. 598-604

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抄録

バーチャルリアリティー(VR)を用いた内視鏡下鼻副鼻腔手術シミュレーション実習の医学生に対する有用性を明らかにする目的で,Bedside learningにおける医学生の鼻副鼻腔の解剖学的知識や内視鏡下鼻副鼻腔手術の手技に関する理解度を指標とした検討を行った。実習前後に鼻副鼻腔の解剖学的知識を問う筆記試験と手術手技の理解に関する自己評価を実施した結果,筆記試験の正答率は平均57.6点から88.8点へ大幅に上昇した。手術手技に関する自己評価では,「よく理解できた」「ほぼ理解できた」と答えた医学生の割合は,上顎洞の開放で82.6%,前頭洞の開放で81.2%,蝶形骨洞の開放で82.6%であった。鼻科手術と耳鼻咽喉科自体に関して興味を持つことができたかについてもLikert尺度を用いてアンケートを行い,鼻科手術に「かなり興味を持てた」「興味を持てた」と答えた医学生の割合は鼻科手術で95.7%,耳鼻咽喉科自体では94.2%であった。バーチャルリアリティーを用いた内視鏡下副鼻腔手術シミュレーション実習は,医学生の鼻副鼻腔の解剖学的知識と手術手技に関する理解度を向上させることが可能であり,医学生が鼻科手術のみならず耳鼻咽喉科の診療科に対して興味を持つことにつながると考えられた。

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