2023 年 62 巻 4 号 p. 605-611
近年では,従来行われている鼻中隔矯正術に加え,鼻柱切開を行わない前弯矯正術や鼻柱切開による鼻中隔外鼻形成術も行われるようになった。しかし厚生労働省により定められている鼻中隔手術の診療報酬には,前弯矯正や上弯矯正,外鼻矯正などの概念はない。また外鼻形成術の診療報酬には,鼻中隔矯正という概念は含まれていない。現在の診療報酬は,鼻中隔手術の進歩からくる労力を反映していない可能性がある。そのため今回我々は,鼻中隔手術についての現状分析を行うことを目的として,全国の主要施設に対しアンケート調査を施行した。
調査を行った施設のうち,75%の有効回答を得た。前弯矯正術と鼻中隔外鼻形成術は,60%以上の多くの施設で行われていた。鼻中隔外鼻形成術を行う科は,63%の施設が耳鼻咽喉科と形成外科の合同手術であった。前弯矯正術は,従来の鼻中隔矯正術より高い卒後年数の医師が執刀しており,手術時間は有意に長い時間を要していた。鼻中隔外鼻形成術は,従来の鼻中隔矯正術より高い卒後年数の医師が執刀しており,鼻中隔矯正術や前弯矯正術と比較してより有意に多くの医師数・手術時間を要していた。