日本鼻科学会会誌
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原著
鼻中隔前弯に対するModified Cutting and Suture Techniqueを用いたHemitransfixion法の検討
加納 康太郎井上 有美井藤 雄次石田 航太郎松下 安理華伴 昭宏岡村 純三澤 清
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2023 年 62 巻 4 号 p. 612-618

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抄録

鼻中隔前弯に対する鼻中隔矯正術において,鼻中隔尾側端から手術操作を行なうHemitransfixionアプローチによる手術が有効である。同術式は,鼻中隔軟骨尾側端を露出させ鼻中隔軟骨を適切な形や長さに調整するという考え方であるが,強度の要であるL-strutに操作を加えるため繊細で慎重な手技が求められる。Modified Cutting and Suture Technique(以下,MCAST)は,鼻中隔軟骨の処理と再固定に関する1つの方法であり,前鼻棘の離断が不要であることやSeptal batten graftが必須ではない点において簡便で有用な手術手技である。今回,同術式を施行した9症例に関してその有用性を検討した。術前後における副鼻腔CT検査において,全症例で鼻腔面積比の有意な改善を認めた。また,自覚症状スコアにおいても有意な改善を認め良好な成績を得ることができた。鼻尖下垂の評価として術前後のCTにおける鼻柱口唇角と鼻尖の高さを比較したが,有意な変化は認めなかった。これらの結果から,MCASTは簡便でありながら軟骨の強度や安定性において有用な方法であると考えられた。

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