日本農村医学会雑誌
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症例報告
高齢発症した劇症1型糖尿病の1例
山田 暢夫渡部 博之三浦 雅人佐藤 敏博堀川 洋平戸嶋 雅道
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2003 年 52 巻 4 号 p. 744-748

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抄録
症例は72歳, 男性。2001年9月29日急に口渇, 頻尿, 高熱が出現。同日近医を受診し, 尿路感染症の診断で治療を受けたが症状は改善せず, 10月3日から嘔吐出現, しだいに意識混濁が出現したため救急車で当院に搬送。入院時検査成績で, 血糖1,110mg/dl, 血液ガス分析でpH7.167, HCO3-7.6mmol/l, 尿中ケトン体陽性。血清アミラーゼは軽度上昇していたが膵炎の所見は認めなかった。糖尿病性ケトアシドーシスの診断でインスリン治療を開始したところ, 翌日に症状は改善した。入院時のHbA1cは5.3%であり, これまで糖尿病を指摘されたことはなかった。また, 尿中C-peptideが2.4μg/dayと著明なインスリン分泌の低下を認めたが, 抗GAD (Glutamic acid decarboxylase) 抗体, IA-2 (Insulinoma associated protein-2) 抗体, ICA (Islet cell cytoplasmic antibody) などの糖尿病関連自己抗体は陰性であった。以上より本例は劇症1型糖尿病であると考えられた。高齢者であっても尿路感染症や感冒症状に高血糖症状を呈する場合は劇症1型糖尿病を念頭において速やかに対処する必要がある。
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© 2003 一般社団法人 日本農村医学会
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