抄録
今回,われわれは脂肪肝の診断におけるレプチン測定の有用性につき検討した。対象は,腹部超音波検査で脂肪肝が認められた22症例を脂肪肝症例とし,腹部超音波検査で脂肪肝を認めない7例をコントロールとした。脂肪肝症例とコントロールとの比較では,体脂肪率,BMI,P III Pおよび血中レプチン値は脂肪肝症例で有意に高値を示した。また,血中レプチン値は男女ともに体脂肪率およびBMIと有意な相関を示したが,L/K比とは男性においてのみ有意な相関を示した。さらに,脂肪肝症例をGPTの異常の有無により2群に分類したところ,GPT異常群では体脂肪率,m-GOTおよびP III Pと並んで血中レプチン値がGPT正常群よりも有意に高かった。
以上より,血中レプチン値はとくに男性において脂肪肝の一つの指標になりうるとともに,GPT異常や血中レプチン値高値を呈する脂肪肝には慢性炎症を伴う例も含まれている可能性があり,慎重な経過観察が必要と考えられた。