日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
看護研究報告
NICUにおける父性育成に向けた援助と対児感情の変化
三ツ木 愛美角山 智美深谷 悠子小林 美幸大野 美津江
著者情報
キーワード: 父性, 父親の実感, 対児感情
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 2 号 p. 90-93

詳細
抄録

 現在,育児環境が変化し父親の役割が重要視されている。NICUにおいても父親の愛着形成に向けて育児練習やカンガルーケアへの参加などを積極的に行なっている。しかし,NICUでは面会時間が限られているため,仕事をもつ父親は母親に比べ育児練習への参加が少ないのが現状である。今回,入院時から退院時までの父親の対児感情の変化を花沢の感情得点を用いて点数化することによって,入院中の児へのかかわりやケアへの参加の内容が,父性発達にどのような影響があるのかを明らかにすることを目的とした。その結果,全例で接近項目得点は増加しており,特に抱っこを行なうことで父親になったと実感した例が最も多く,父親実感を得る上で重要であったと考えられた。また,退院に近づくにつれて「こわい」「むずかしい」といった回避得点が増加した例もみられた。これは退院後の生活に不安を抱いた低出生体重児の父親にとって当然の感情であると思われる。
 今後は個々の父親に合ったケアを取り入れ父親と児が心地よいと感じる環境を整えることが必要であると考えられた。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事
feedback
Top