日本農村医学会雑誌
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原著
発熱を呈する小児のための献立「小児熱発食」の検討
深見 沙織中村 崇仁柳田 勝康山田 慎悟山口 剛白石 真弓伊藤 美香利朱宮 哲明西村 直子尾崎 隆男
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2012 年 61 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
 一般病院において,入院小児が発熱を呈する頻度はかなり高い。発熱を呈する小児では十分な栄養と水分の補給が療養上大切であるが,発熱中には十分摂取できないという問題がある。今回,この問題に対応するため,発熱時にも食べやすいように食材や調理法を工夫した小児用の献立「小児熱発食」を新たに作成した。
 「小児熱発食」は2011年1月6日に導入され,その後3か月間で109名 (1歳~8歳,平均年齢3.3±1.9歳) に提供された。有熱期 (≥37.5℃) における一人当たりの平均提供食数は,4.0±2.9食であった。「小児熱発食」の有用性を評価するため,提供者全例について,有熱期の喫食率調査と保護者に対するアンケート調査を実施した。「小児熱発食」の有熱期平均喫食率は主食3.9±3.0割,副食2.8±2.2割であり,その導入前2か月間における発熱小児112名 (1歳~8歳,平均年齢3.3±2.1歳) の有熱期平均喫食率 (主食3.9±3.0割,副食2.9±2.2割) との間に差は無かった。アンケートの回答は43名から得られた (回収率39%)。「小児熱発食」は良かったとする回答が67%を占めており,保護者からの評価は概ね良好であった。今後はアンケート結果を参考に,有熱期の喫食率の向上を目指して「小児熱発食」の改善に努めていきたい。
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© 2012 一般社団法人 日本農村医学会
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