日本農村医学会雑誌
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報告
安城更生病院における緩和ケアチーム介入の現状と今後の課題
——院内オピオイド使用患者に対する病棟ラウンドの評価——
中村 和行三浦 崇則万塩 裕之米山 英二杉浦 洋二勝見 章男嶋田 美佳荻野 晃子小池 委子竹内 真実子中村 從之小野 芳孝李 振雨
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2012 年 61 巻 1 号 p. 8-15

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抄録
 がん患者に対しその症状の早期から介入するため,安城更生病院の緩和ケアチーム (以下,PCT) は,オピオイド使用患者を対象に,病棟ラウンド (以下,スクリーニング回診) を実施している。本研究の目的は,スクリーニング回診を実施する当院PCTの活動状況並びに現状の問題点を解析し,その問題点の解決法を見出すことである。
 我々は,PCTの介入状況および介入患者に対して行なった薬物療法に関する提案228件について,PCTが介入した196例をレトロスペクティブに調査した。
 103例に対しては,医師からの依頼により介入を行なった (以下,依頼群)。また,93例には,PCTによるスクリーニング回診による介入が行なわれた (以下,スクリーニング群)。
 スクリーニング回診によって,PCTの介入症例は増加した。スクリーニング回診を実施する以前には,PCTへ介入依頼のなかった医師からの介入依頼症例数も増加した。
 他方,PCTの介入に関する問題点も明らかとなった。PCTが積極的に介入したスクリーニング群において,処方薬の提案に対してレスポンスがないケースが33%存在した。この問題は,PCTと各病棟スタッフとの間の情報交換が主に電子カルテを介したもので,PCTと各病棟スタッフ間の十分な信頼関係を築けなかったことに一部由来するかもしれない。今後は,より良いPCT介入を行なうために,カンファレンスなどの直接的な情報交換を介し,各病棟スタッフとの連携体制 (協力的な体制) を構築する必要がある。
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© 2012 一般社団法人 日本農村医学会
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