日本農村医学会雑誌
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原著
農村地域在住高齢者の飲酒習慣が生活機能・肝機能検査値に及ぼす影響
南部 泰士南部 美由紀佐々木 英行桐原 優子月澤 恵子今野谷 美名子高橋 俊明
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2012 年 61 巻 2 号 p. 88-96

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抄録

 健康日本21最終報告書 (2011) により,「アルコール関連問題が特に増加していると推定される女性・高齢者の飲酒指標等の目標値の追加が考慮されるべきであり,今後有効な対策を立て,評価を行なうためには,必要な調査の実施,データの集積を行なう必要がある」と,今後の課題が述べられている。
 本研究は秋田県横手市の農村地域に在住する高齢者448人 (男性206人,女性242人) について,飲酒習慣と生活機能・肝機能検査値に着目し,今後の一次予防活動における基礎情報の提供を目的に調査を行なった。男性は,1日にアルコールを21g以上摂取する人の,基本チェックリスト25項目中19項目の生活機能が低下していた。特定高齢者候補者の88.9%が,1日にアルコールを21g以上摂取していた。女性は,飲酒習慣とBMI・肝機能検査値に関連性はみられなかったが,特定高齢者候補者の1日のアルコール摂取量が多かった。
 飲酒習慣は高齢者の肝機能検査値・生活機能と関連しており,要介護リスクを判断する指標になりうることが明らかになった。高齢期以前から,ライフサイクルに応じた,「節度ある適度な飲酒」に関する知識の普及を,より推進する必要があると考えられた。

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© 2012 一般社団法人 日本農村医学会
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