日本農村医学会雑誌
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報告
当健診エリアにおける慢性腎臓病 (CKD) の実態
―健診データーの分析から考える―
小城 千百合栗岡 允小田 恵子小田 則子友田 裕康
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2013 年 61 巻 4 号 p. 625-631

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抄録

 慢性腎臓病 (以下CKD) 対策は,住民の健康課題としてきわめて重要とされており,今回慢性腎臓病地域連携パス活用と今後の保健指導に活かすことを目的として,健康管理センターの健診データーを分析し,当健診エリアにおけるCKDの実態について検討した。
 方法は,平成16年度と平成21年度 (以下21年度) のCKD症例数・危険因子とその重複症例数・BMI・HbA1cの比較検討を行なった。
 結果は,CKD症例数の増加,中でも50歳代男性・60歳代の男女で有意に増加していた。危険因子の症例数を全国調査と比較すると,21年度の内臓肥満は同等,高血圧は少なかった。また,年度間の比較においては,高血圧は男女とも増加,脂質異常は女性で増加,高血糖は男女とも増加しており,危険因子を3個から4個持つ症例数の割合は,21年度男性46%・女性31%であった。さらに,正常高値以上の高血糖を有する症例数は男性50歳代以上・女性60歳代以上で90%を超えているという結果であった。
 以上のことから,高齢化率の高い当健診エリアにおけるCKD患者数は今後ますます増加し,その速度は速いと予想される。今後は,増加傾向である高血圧・女性の脂質異常・高血糖に注意した一次予防が必要であるとともに,CKD対策として,糖尿病予防に重点的に取り組む必要性が示唆された。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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