日本農村医学会雑誌
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外来化学療法患者における薬薬連携の取り組み
伊藤 麻紀宮田 香高谷 浩英齊藤 厚高橋 茂
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2013 年 61 巻 5 号 p. 703-709

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抄録

 昨今の化学療法の多様化に伴い外来での抗がん剤治療が増え,病院での点滴後に保険薬局で薬を受け取る流れが出来ている。しかし保険薬局では,抗がん剤化学療法に関する知識が乏しく,また告知の有無を含め患者の治療計画,治療段階,状態等を知る手だてがなかった。休薬期間を要するなど服用方法の複雑化によるコンプライアンス低下も懸念される。そこで保険薬局において,患者により有益な服薬指導が出来るよう,病院薬局との情報の共有化を含め薬薬連携の在り方の模索を始めた。
 まず処方箋発行元である仙北組合総合病院の薬局との話し合いから始め,お互いに必要とする情報を交換し,治療スケジュールに関してのレジメンの提供を受け,服薬指導ツールの共有化を行なった。その後病院薬剤師による外来での化学療法開始時の患者説明への立ち会い,病院薬剤師や医師による抗がん剤化学療法・服薬指導に関する勉強会の開催を経て保険薬局での患者服薬指導の実施へと繋げた。更に病院薬局を窓口とし,告知の有無等の確認やフィードバックを行なえるようなシステムの構築を図った。
 病院薬局と保険薬局の情報の共有,合同勉強会の開催,服薬指導の統一等により,入院時から継続した指導を行なうことができ,これにより治療の効果・安全性を高めることができると思われる。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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