日本農村医学会雑誌
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報告
敗血症検査におけるプロカルシトニンの有用性
── 血液培養との対比を中心に ──
小出 明奈久保田 勝俊岩月 奈都粕谷 法仁山下 愛鈴木 和人花ノ内 基夫
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2013 年 62 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

 プロカルシトニン (以下PCT) は重症細菌性感染症及び敗血症のマーカーである。  敗血症は,治療開始の遅れにより,ショック・DIC・多臓器不全を引き起こし,死に至るといわれている為,早期の診断が重要である。多くの感染症マーカー (CRP,血液培養,エンドトキシンなど) は臨床的重要性を欠く場合が多く,ここ5年間で細菌性敗血症の診断マーカーであるPCTが世界的に認知されるようになってきた。  当院では,2008年の改築に伴い救急医療の充実を図るため,PCTを24時間いつでも定量測定し,30分で報告できる体制を整えた。今回,敗血症を疑いPCTと血液培養を同時に採血した患者の検査結果をもとに,敗血症の早期発見,早期治療への有用性について検討した。  PCTと血液培養の一致率は58.96%であった。その背景には血液培養検査はもともと陽性率が低いことと敗血症以外での侵襲によるPCT上昇が考えられた。  また,PCT濃度が0.5ng/mL未満の症例では,細菌性敗血症の可能性が低いことから,PCTは救急医療現場においてバイオマーカーの1つとして迅速診断に有用であることが伺えた。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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