日本農村医学会雑誌
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報告
主治医と介護支援専門員との連携
──柳井方式といわれる連絡表(照会)の5年間を振り返って──
三上 悦子中村 真一郎
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2013 年 62 巻 2 号 p. 112-118

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抄録

 平成17年より柳井医師会,柳井市役所,地域の介護支援専門員と共同で作成した居宅介護支援計画連絡表 (照会) (以下連絡表 (照会) と記載する) ツール運用の5年間を考察する。  年1回医師会員,介護支援専門員対象の連絡表 (照会) 使用状況アンケートから,平成21年と平成23年を比較し連携に効果があった点と課題を抽出する。  当初,連絡表 (照会) を使用するにあたり,医師会員の中には前向きでない意見や連絡表 (照会) を送っても返事が届かない時もあったが,諦めないで送ることでお互いが必要なことだと意識づけしていき,医師からはコメント付の返事が届くようになった。また,返事も早く届くようになった。一方,総合病院の医師からのコメントは相変わらず少なく返事も遅い傾向があった。5年の間に主治医と介護支援専門員のお互いの敷居が低くなって連携が図れるようになり,このツールは“柳井方式”とまでいわれ主治医と介護支援専門員の中では必要な様式となった。  今回,作成した連絡表 (照会) はお互いの顔と顔が見えるツールとして効果があった。これは,ツール作成から運用までを,医師会・行政・介護支援専門員の三者合同の委員会を通して行なったことが大きな要因になったと考える。しかしながら,総合病院との連携では総合病院の居宅介護支援事業所としてアプローチを行なってきたものの,まだまだ課題が多く,今後,総合病院の医師を含めたお互いの顔が見える連携ツールとなるようにしていきたい。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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