日本農村医学会雑誌
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研究報告
糖尿病教育入院時の行動変容ステージ別評価と退院後の各種パラメータの検討
山下 愛小出 明奈眞島 悦子久保田 勝俊石黒 等松原 優鈴木 和人花之内 基夫増渕 孝道丹村 敏則
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2014 年 63 巻 4 号 p. 634-643

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抄録
 今後の糖尿病教育入院指導に役立てる事を目的として教育入院時の行動変容ステージ別評価と各種パラメータの検討を行なった。対象は2009年10月~2012年2月までに当院で糖尿病教育入院をされた106名 (男性: 53名, 女性: 53名, 平均年齢: 66.0歳) とし, 入院時・退院1・3・6・9・12か月後のHbA1c等の測定値について検討した。HbA1cは, 入院時と比較し, いずれの測定月においても有意に改善していた (p<0.05)。また行動変容ステージ別の平均評価では, 前熟考期群でリバウンド傾向を認めた。職種別の行動変容ステージの評価では ,2ステージ以上の評価差を約10%認めた。今回の検証から, 患者の自己管理能力が退院後の血糖コントロールを大きく左右させることが推測できた。糖尿病教育入院は多職種のチームで支援しており, それぞれの専門職が高い知識で関与することによって質の良い医療の提供が期待できる。一方で, 多職種が関わることにより行動変容ステージでの評価差がでてくることがある。この要因として指導した際の患者の体調や気分, 指導者の外見によって態度が変わることがある。また, それぞれの専門職では患者を診るポイントが違うことも挙げられる。このため, カンファレンスでの情報の共有化や評価のすり合わせが重要となる。現在, チーム医療が重視されており, スタッフ間の連携がより良い医療の提供に繋がり, さらに患者のQOL向上に繋がることが示唆された。
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© 2014 一般社団法人 日本農村医学会
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