2015 年 64 巻 2 号 p. 114-124
当院の診療圏である三河中山間地域を対象として「認知症についてのアンケート調査」を実施し, 65歳以上の回答者に対しては日常生活状況および活動能力, 精神的な健康状態についての項目を追加実施した。活動能力指標として老研式活動能力指標, 精神的な健康状態評価法として老年期うつ病評価尺度 (GDS) を用い, ロジスティック回帰分析によりアンケート調査結果37項目の関与について検討した。 活動能力指標に対しては,「毎日するべき仕事の有無」「田畑の世話」「趣味の有無」「ボランティアとしての協力意向」「話し相手」などがオッズ比2.0以上 (p‹0.001) と強い関与が認められ, 精神的な健康状態も「趣味の有無」「ボランティアとしての協力意向」「話し相手」などほぼ同様な項目がオッズ比2.0以上 (p‹0.001) であった。このことから, 高齢者の日常生活には目的意識や役割, 地域との関わりなどを持つことが重要であることが明らかとなった。 高齢者の一層の増加が予測される状況では「健康な高齢者が身体的・精神的に弱くなった高齢者を見守り・支援する体制」を地域で構築することが重要と考えており, 今回の結果を踏まえた地域住民を中心とした早急な体制づくりが必要である。