抄録
〔目的〕看取り期の患者における皮膚湿潤 (冷たくじっとりとした皮膚所見) の出現と関連因子を明らかにする。
〔方法〕緩和ケア病棟で, 看取りのクリニカルパス (Liverpool Care Pathway[LCP]日本語版) を用い, 看護師により皮膚湿潤を前向きに観察した。
〔結果〕LCP適用患者213例中, 皮膚湿潤は48例 (22.5%) にみられ, 夏・日中午前に多く, 出現後死亡まで平均45.8時間であった。多変量解析では非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAIDs) 投与が独立した関連因子であった。結語: 皮膚湿潤は, 以前われわれが報告した後ろ向き研究 (頻度10.9%, 出現後死亡まで平均10時間) に比べ, 高頻度かつ早期からみられ, NSAIDs投与が独立した関連因子であった。