日本農村医学会雑誌
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症例報告
脳出血発症直前の内科外来診察時に両足の外観的変化を認めた2例
丹村 敏則
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2015 年 64 巻 4 号 p. 693-699

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抄録

 脳出血発症前の内科定期受診時に, 脳出血発症の予兆の可能性が示唆された2例を経験したので報告する。症例1は82歳, 女性である。糖尿病で内科通院中であった。定期受診の1週間前から血圧が200前後に上昇していた。診察時, 168/96mmHg (普段は130前後) で, カンデサルタン4mg, 0.5錠開始した。翌日, 突然の意識消失で救急搬送され, 脳神経外科で左大脳皮質下出血で治療開始された。発症前日の内科外来では足背部が全体に紅潮, 浮腫状であったが, 入院後は平常の足になった。症例2は73歳, 男性である。糖尿病, 高血圧, 高尿酸血症で10年以上前から治療中であった。意識レベルの低下を認めたために救急車で来院した。来院時, 意識レベルはⅡ-20で, 右上肢の麻痺を認めた。血圧は191/98と高値であった。頭部CT検査で脳出血を認めた。脳神経外科に入院となり保存的治療が施行された。直前の内科外来日に認められた足の変化は, 入院翌日には, 平常の足に復していた。血圧の上昇や足の変化が脳出血の前兆と考えられる所見の可能性が示唆された。心血管イベントの予防のために示唆に富む症例と考えられたので若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2015 一般社団法人 日本農村医学会
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