日本農村医学会雑誌
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原著
農村で生活する人々の健康に資するソーシャル・キャピタル指標の開発
井上 智代渡辺 修一郎田辺 生子
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2017 年 66 巻 2 号 p. 128-140

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抄録

 筆者らはこれまで農村のソーシャル・キャピタル(以下SC)について質的に分析を試み,農村におけるSC を「自然との共生」「農村ならではの信頼関係の維持」「農村の社会規範を重んじる」「農村であることを活かした社会参加とネットワーク」の4 つの概念にまとめた。本研究ではその概念を活かし,人々の健康に資する農村部SC 指標の開発を行なった。A 村に2016年6 月現在在住の20歳以上の住民7,114人に対し,郵送にて調査票を配布した。回答が得られた1,327人のうち,無記入4 人を除外し,有効回答1,323人とした。4 概念16項目の農村SC 指標を作成し,妥当性・信頼性を検証した。モデルの適合度,他の尺度との比較による併存的妥当性が支持されたほか,健康度自己評価,睡眠状態,高齢者の生活機能,外出頻度,GDS 5 との関連性が認められ,基準関連妥当性が支持された。また信頼性については,各概念および全体のCronbach のαも0.80を超える数値を示した。作成された農村SC 指標は健康的な地域づくりの一助になると考えられ,今後,農村SC 指標の一般化へ向けて,他の農村地域においても調査を行ない,研究成果を積み重ねていく必要があると考える。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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