日本農村医学会雑誌
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症例報告
摂食障害の母体から出生し,心電図変化を伴う低K 血症を呈した新生児偽性Bartter 症候群の1 例
阿久津 裕子東 裕哉永吉 有香子杉江 学近藤 乾今村 公俊
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2017 年 66 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

偽性Bartter 症候群は低K 血症と代謝性アルカローシスを呈し,Bartter 症候群との鑑別が重要な疾患である。今回,摂食障害による偽性Bartter 症候群母体から出生し,著明な低K 血症,代謝性アルカローシスを認めた新生児症例を経験した。症例は女児。在胎41週で経腟分娩にて出生,一過性呼吸障害にて血液ガス検査を施行した際に低K 血症が認められた。その後も低K 血症の改善なく,日齢3 当院搬送時はK 2.6mEq/L,pH 7.56,HCO3‒ 36.3mmol/L,BE 12.8mmol/L と代謝性アルカローシスもあり,心電図にて洞性徐脈,胸部誘導でST 低下とT 派平坦化,U波の出現を認めた。日齢5 よりK 製剤の経腸投与を開始,血清K 値は速やかに改善し日齢7 には投与を中止した。それに伴い心電図変化も消退,日齢相当の心電図所見となった。後に,母が摂食障害にて頻回嘔吐しており血清K 2 mEq/L 台で推移していたことが判明した。母体の偽性Bartter 症候群による新生児偽性Bartter 症候群を発症し,高度の電解質異常・心電図変化まで呈した1 例と考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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