日本農村医学会雑誌
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症例報告
上顎歯肉白板症切除後の骨面露出に対してポリグリコール酸シートとフィブリン糊にて被覆を行なった1例
安井 昭夫武井 新吾鶯塚 晃士大川 多永子福山 隆一千田 美歩
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2018 年 67 巻 1 号 p. 82-86

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抄録
 口腔外科領域の切除手術によって生じた口腔内の粘膜欠損部に対して,吸収性生体材料であるポリグリコール酸シート(PGAシート)とフィブリン糊スプレーで被覆する報告がみられるようになっている。
 上顎歯肉白板症切除後に生じた骨面露出に対してPGAシートとフィブリン糊で被覆し,良好な結果を得た1例を経験したので報告する。患者は64歳男性で,右上顎歯肉に22×10mmの白色角化病変を認め,上顎歯肉白板症切除術を施行した。手術によって生じた骨面露出部にはPGAシートとフィブリン糊で被覆し,術後5週で創部の上皮化が完了し,瘢痕拘縮も認められなかった。口腔外科切除手術に伴う骨面露出に対するPGAシートとフィブリン糊スプレーによる被覆法は,創部に緊密に接着することで疼痛緩和・出血予防・瘢痕拘縮の抑制などをもたらし,手術侵襲がきわめて少なく操作も簡便なため,手術時間の短縮にも有用であると考えられた。
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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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