日本農村医学会雑誌
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原著
妊婦を対象とした小児アレルギー疾患に関する意識調査
大谷 清孝稲垣 瞳
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2018 年 67 巻 2 号 p. 103-

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抄録

 小児アレルギー疾患に関する母親への意識調査などの報告が散見されるが,妊婦を対象とした小児アレルギー疾患に関する検討は少ない。2015年4月1日から2016年3月31日において,後期母親学級(30週以降)に参加した255名の妊婦を対象に無記名記入方式の調査票を配布した。対象を初妊婦と経産婦に群分けし,食物アレルギー(food allergy,以下FA),アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis,以下AD)に関する認識を検討した。対象から医療関係者(医師,看護師,医療事務等),調査票の未提出,および無効回答を除外した。後期母親学級に参加した妊婦は255例であり,調査票の回収率は94%(239/250)であった。除外対象を考慮した検討対象は,初妊婦は180名,経産婦は42名であった。年齢中央値(四分位)は,初妊婦が30歳(26~34歳)で,経産婦が32歳(20~41歳)であり,両群間に有意な差を認めなかった。FAでは,診断根拠が血液検査と回答した初妊婦が67%(121例),経産婦が64%(27例)と最多であり,他の回答より有意に多かった(p<0.001)。ADでは,湿疹がなくてもスキンケアをした方がADの発症を予防できると回答した割合は初妊婦の71%(127例)より経産婦の55%(23例)の方が有意に少なかった(p=0.02)。湿疹に対してステロイド外用薬を使用してはいけないと回答した初妊婦の36%(65例)より経産婦の17%(7例)の方が有意に少なかった(p<0.01)。FAの診断根拠やADの治療に関する正確な情報を発信する必要がある。

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