日本農村医学会雑誌
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研究報告
地域一体型NSTシステム「揖斐モデル」構築の試み
立木 一美熊澤 伊和生川瀬 徳子山田 裕樹渡邉 二三雄馬渕 智子高井 美帆子
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2018 年 67 巻 2 号 p. 113-

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抄録

 揖斐厚生病院は,高齢化率の高い地域の診療圏をカバーしており,地域包括ケアシステムの構築が重要な課題となってきている。住み慣れた地域での生活継続のために,必要不可欠な経口栄養摂取の維持・肺炎予防を目的とする地域一体型NSTシステムを構築し,実践してきたのでその成果及び今後の課題を報告する。  本研究では,地域一体型NSTシステム(NST外来・NST入院・NST訪研究報告:問)の構築を行ない,その普及活動の検証を行なった。期間は2016年2月から2017年3月までである。 内容は,潜在しているNST対象者の抽出調査及び後ろ向き診療録調査・NST外来の拡充(外科医師による診察及び内視鏡下嚥下機能検査・歯科受診・管理栄養士及び言語聴覚士による評価後,共同作成した情報提供書を紹介元へ返送)・NST入院の導入(地域包括ケア病棟で2週間の入院中,口腔ケア回診・嚥下パスポートの導入・リハビリテーションの開始・NST回診・在宅スタッフとの担当者ケア会議を実施。退院後,言語聴覚士のNST訪問開始)である。本システムの普及活動として,地域の介護保険施設や医療機関等へ出向いて顔の見える連携を心掛けた。  地域一体型NSTシステム「揖斐モデル」の導入・開始を行なうことで,本システムは地域での医療ニーズが高いことが判明し,今後,地域包括ケアシステムの中で在宅医療体制を支える柱となる可能性が示唆された。肺炎件数の低下やQOL改善などの真のアウトカム変化については今後さらなる検証が必要である。

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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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