抄録
第2世代の5-ヒドロキシトリプタミン3受容体拮抗薬5-hydroxytryptamine 3 receptor antagonist; 5-HT3RA)であるパロノセトロンは,従来の5-HT3RA薬と比較し高い受容体親和性と長い半減期をもち,化学療法誘発性悪心・嘔吐ChemotherapyInducedNauseaandVomiting; CINV)に対する予防的投与で優れた有効性が示されている。しかし,CINVを認めた患者に対する有効性の報告はない。そこで今回我々は,CINVを認めた患者に対し次コースから使用した場合の有効性について検討した。2010年8月から2013年1月の2年6か月で対象患者は50名であった。対象患者の治療レジメンは高度催吐リスクが27名,中等度催吐リスクは23名であった。全例グラニセトロンからパロノセトロンに変更された。重篤度が下がった割合は,急性期悪心で60%であった。また,遅発期では嘔吐90%,悪心66%に重篤度低下を認めた。救済療法を使用した患者は48%から24%に減少した。グラニセトロンでCINVが発現した患者に対し,パロノセトロンへ変更することにより悪心・嘔吐の改善を認め,有効性が確認できた。