日本農村医学会雑誌
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症例報告
テクノエイド支援活動における個別支援の意義
篠原 亜友美鈴木 智子太田 正井上 菊美堀内 清美藤井 博之北澤 彰浩
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2018 年 67 巻 2 号 p. 165-

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抄録

 当院は,ケアの質向上による患者の生活機能向上と職員の安全確保を目的に,補助器具・福祉用具の導入と技術支援を推進するテクノエイド委員会(2012年)を発足させ,テクノエイド支援室(2013年)を開設した。テクノエイド支援室の業務は,テクノエイド回診,職員の教育・研修,機器管理,院内各部署から相談のあった事例への個別支援である。本報告では,複雑な支援を要した2症例を紹介し,テクノエイドに関する個別支援の意義を考察する。[症例1]介助量が多くなった筋萎縮性側索硬化症患者でポータブルトイレ利用継続を希望しているが,立ち上がりが困難となり,座面の高さ調節の依頼があった。[症例2]多肢切断患者で移乗介助時に患者・介助者とも疼痛・苦痛があり,移乗方法の検討依頼があった。介助用リフトが必要と考えたが,硬いスリングが断端の疼痛を強めるため調整を行なった。
 これらの症例では,既成の用具で対応できず,支援方法を検討した結果,用具の自作あるいは加工が必要となった。ケアの質を高め,QOLの向上を図るために,必要な時に必要なモノをスムーズに提供する仕組みが必要である。個別支援にあたっては,初回時にどれだけ適切な対応ができるかが重要で,以降の介入が可能か否かを分けることにもなる。そのためには,今回のような自作・加工が必要な場合もある。

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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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