2018 年 67 巻 2 号 p. 181-
百合草らが「全化学療法患者のうち40%が口腔粘膜炎を発症し,さらにその半分の患者に重症口腔粘膜炎のため輸液,麻薬性鎮痛薬の投与,そして治療内容の変更がなされている。」1) と報告しているように,がん化学療法を受けている患者には,早期から口腔ケア介入を行なっていく必要性が提唱されている。しかし筆者らが勤務している当院の呼吸器内科・血液腫瘍内科病棟(以下,当病棟)では,平均100件/月程度のがん化学療法を行なっているが口腔ケアは個々の看護師任せで記録も残されていなかった。今回,当病棟看護師24名を対象に口腔ケア調査とEilers Oral Assessment Guide(以下OAG)の項目に沿ったアセスメント力をみる独自の口腔アセスメントテスト(以下,テスト)を実施し,口腔ケアアセスメントシート(以下シート)を作成・導入した。アンケート調査では「何らかの観察や口腔ケア介入は行なっているが,根拠や自信がない」,「口腔内観察で患者の協力が得られていない現状や患者指導で統一性がない」などの意見があった。シート導入前後のテストの変化を平均点で評価したところ,テストスコアが有意に上昇したことがわかった。また,シート活用で早期からケア介入ができ,自分たちで選択したケアの記載やその妥当性を確認できるようになりアセスメント力,ケア力向上に効果があった。